スポーツ用品メーカー、久々に訪れたテニスブームを、しっかりレシーブ。

 近年、消費者ニーズの多様化、新スポーツの台頭、若年層のスポーツ離れといった要素が重なり、テニス人口は10年間で50万人近くも減少(2013年「日本テニス協会」調べ)。コート数も大幅に減り、名門テニス施設の閉鎖や用品市場の縮小など、テニス業界は冷え込む一方でした。しかし、そんな低迷する市場を鼓舞するかのように再び熱い風を吹き込んだのが、2014年からの“ニシコリ(錦織)フィーバー”でした。

 現在テニスをやっている人たちを刺激するのはもちろん、過去にテニスをやっていた“休眠プレーヤー”や未来の錦織を夢見るジュニアへの刺激付けとなり、プレー人口やプレー機会の増加、ひいてはテニス用品需要の拡大につながっています。

 テニスの試合を独占中継する「WOWOW」には契約の問い合わせが殺到。また、いつの間にか消えていった街のテニスショップも復活しています。

 イタリア生まれのスポーツブランド「エレッセ」([ゴールドウイン])と老舗テニス専門店「ウインザー」([ウインザー商事])がコラボした「エレッセテニスクラブ ウィズ ウインザーラケットショップ」が、この4月、東京世田谷のショッピングセンター内にオープンしました。「エレッセ」の店舗出店は6年ぶり、「ウインザー」の新店は15年ぶりとなります。

 [ダンロップスポーツ]は、耐久性を高めた硬式練習用ボールを20年ぶりに発売。また、グリップ部分にセンサーを内蔵して、ストローク、サーブ、スマッシュといったプレー内容を端末に数値やグラフで可視化できる、世界初の通信機能搭載テニスラケット「アエロプロドライブプレイ」を発売。スペインのナダル選手が今年から使用しています。

 [デサント]の「ルコックスポルティフ」ブランドは今年からテニスウエアの販売を再開。2000年代前半に一旦休止していたもので、今回、約100店舗での展開をスタートさせます。

 [ブリヂストンスポーツ]では、女性向けテニスウエアブランド「パラディーゾ」シリーズや競技者向けラケットの新商品を投入。

 一方で、昨今のテニス熱は錦織ブームであってテニスブームとは言えない、との声も。しかしいま、彼の痛快な活躍ぶりと人気が追い風となって、テニス関連ビジネスが活況を呈していることはまぎれもない事実です。今後の、テニスブームの“経済的実力”に注目することにしましょう。

※参考:
日本テニス協会    http://www.jta-tennis.or.jp/
ゴールドウイン     http://www.goldwin.co.jp/
ウインザー商事    http://www.windsorracket.co.jp/
ダンロップスポーツ  http://www.dunlopsports.co.jp/
デサント         https://www.descente.co.jp/
ブリヂストンスポーツ http://www.bs-sports.co.jp/
日経МJ(2015年4月17日付)