“待ち”から“攻め”へ。ネットで販路拡大、「中古車販売」市場。

 2014年の中古車販売台数は、2年連続マイナスの前年比3.6%減で過去最低を記録しました(日本自動車販売協会連合会)。消費増税による新車販売低迷の波をもろに被ったかたちです。しかし中古車販売各社は、この窮状をチャンスと捉え、活発な動きを見せ始めています。

 その一例が、中古車のネット通販の広がりです。これは、これまであったような、通販サイト上に中古車の販売店などのリンクを設けるといったものではなく、他の一般商品と同様にクルマがオンラインで買えるというシステムです。そもそも、高単価で一台ごとに状態が異なる上に事務手続きが煩雑といった中古車をネットで販売するのは難しい、というのがこれまでの業界内の常識でした。この画期的試みに挑んだのが、総合ネット通販サイトの[アマゾン]でした。中古車販売の[ネクステージ]と組んで、昨年スタート。価格の、安さと分かりやすさが最大の特徴で、現在設定されている、33万、44万、55万、77万円という4つの価格帯はすべて総額表示で透明化。税金や保険、その他の諸費用の一切を含んだ数字です。また、実物を見ずに買う不安を取り除くために、タイヤ、バッテリー、エンジンオイルなどの消耗品8パーツを新品に交換。最短2週間で自宅に納車され(関東・関西・中部地域は送料無料)、納車から1週間以内は返品可能。購入後のメンテ等は、全国34拠点の[ネクステージ]店舗で対応します。

 「タイムズ」を展開する[パーク24]は、今年3月から、レンタカーやカーシェアで使用していた中古車のネット販売を開始。主な消耗品8パーツの新品交換や1年間無償修理を付帯。
 
[ヤフー]も今年2月から、これまで加盟業者間でしか取り引きできなかった中古車がネットオークションサイト「ヤフオク!」を介して個人でも買えるようになりました。
 
中古車買い取り最大手の[ガリバー]は、今年3月「楽天市場」に「ガリバーオンラインストア楽天市場店」を、4月には「ヤフー!ショッピング」にそれぞれ出店して中古車のネット販売を開始しました。自社店舗で買い取った“新車登録5年未満・走行距離5万キロ以下・評価点A以上”の3条件を満たす国産車が対象。8品目の消耗品、新品交換。最長10年間保証付き。

 積極的な実店舗拡大に加えて、ネット通販に新たな活路を見出そうとする中古車業界。今後、順調に信用と実績を獲得していければ、将来的には自動車メーカーやディーラーと組んで、新車販売へと発展しそうな可能性を秘めています。

※参考:
(社)日本自動車販売協会連合会  http://www.jada.or.jp/
アマゾンジャパン            http://www.amazon.co.jp/
ネクステージ               http://www.nextage.jp/
タイムズモビリティネットワークス   http://www.timesmobi.co.jp/
ヤフー                   http://car.auctions.yahoo.co.jp/
ガリバーインターナショナル      http://www.glv.co.jp/
日経МJ(2015年1月21日付/同3月4日付)