ライブ市場拡大の恩恵? ファンの必須アイテム、「双眼鏡」需要が急伸。

CDなど、音楽ソフトの売り上げ低迷をしり目に、ライブ・エンターテインメント市場は大盛況。2017年には、過去最高の市場規模を記録しました。加えて、トレンドである“コト消費”の盛り上がりを追い風に、スポーツ観戦の動員数も増加。
こうした流れは、思わぬところに恩恵をもたらしています。それは、アーティストの表情を手に取るように見ることができると人気が高まっている「双眼鏡」です。
野鳥や星などを見るアウトドア用としてではなく、コンサートや観劇、スポーツ観戦などのエンタメ用としての人気がうなぎ登り。いまやファンにとっては、ライブ会場への欠かせない“パートナー”となって需要を押し上げています。

特に人気なのが、“手ブレ補正機能”を搭載した防振タイプの高機能機種。会場が暗転してステージのみに照明が当たる場合などに発生する手ブレを、センサーが感知して視界を安定させる仕組みです。このタイプは、モーターや様々な電子部品などのパーツが多くなるため、どうしても通常のもの(重量約200~300g、価格約3000~1万円)よりも、やや重く(約500~1300g)、かつ高価(約2万5000円~)になることは否めません。

ちなみに、双眼鏡の倍率で気をつけたいのは、倍率が高いほどよく見える、ということではないということ。むしろ倍率が高すぎると手ブレの影響を受けやすく、視界も狭くなってよく見えないという事態に。ライブハウスなど小規模な会場なら6倍程度、ドームのアリーナ席で6~8倍程度、2階席で10倍程度が目安となります。
昨今の双眼鏡人気の高まりを商機ととらえた家電量販店では、売り場作りや接客を強化。東京ドームや京セラドームといった全国の主なライブ会場の座席図を展示して、最適な倍率の機種を選びやすくする工夫を凝らしている店舗も。

会場内に大画面モニターがあるにもかかわらず、自分がいま見たいアーティストの表情を自分のペースで追いかけたい、ステージ上で着ている服や靴を双眼鏡でチェックして同じブランドのものを手に入れたい……こういったファンの思いが、躊躇することなく何万円もする高機能・高単価の双眼鏡を手に取らせます。そんな現状の需要の高まりに加え、来年には東京五輪が控えています。双眼鏡市場にとって、さらなる需要増を阻む要因はどこにも見当たりません。

※参考:

キャノン          https://canon.jp/
オリンパス         https://www.olympus.co.jp/
ビクセン          https://www.vixen.co.jp/
ニコン           https://www.nikon.co.jp/
日経МJ(2018年6月13日付/同9月3日付/同9月12日付/同11月26日付)