日常のスナップ写真をプロの手で。きょうだけ“わたしの専属カメラマン”。

 デジカメはもとより、スマホやタブレットのカメラ機能がめざましい進化を遂げ、誰でもそれなりに美しい写真が撮れる時代。しかし、写真が身近になった分、“ちゃんとした写真”は意外に少ないものです。子供の写真はいっぱいあるのにまともな家族写真はなかったり、集合写真ではいつも一人(撮影者)が欠けていたり、二人の自撮りはどの写真も同じアングル…。

 いま、普通の人たちがプロのカメラマンに出張撮影を依頼するケースが増えてきています。七五三、入園・入学、卒園・卒業、成人式などのライフイベントや誕生日、ピクニック、パーティー、家の新築記念、ペットを囲んだ家族写真など、プライベートのひとコマを、撮影してほしい日時と場所に、作品を見て気に入ったカメラマンを呼んで撮ってもらうサービス。何気ない日常の自然な表情や貴重な瞬間を“作品”として残したい—–口コミと、SNSで“みんなに見てもらいたい”願望の相乗効果で需要が高まっています。

 撮影を希望する人とプロのカメラマンとをマッチングする個人向け出張撮影サービスを2016年より展開しているのが、「フォトワ」(東京)。撮影時間は1時間で、1週間以内に75枚以上の撮影データが納品されます。料金は平日1万9800円(税別)、土日祝日は2万3800円。これまで、サービスの提供は東京・千葉・埼玉・神奈川エリアでしたが、今年から全国展開を予定しています。

 カップルに特化し、二人のデートに同行して撮影するサービスを手掛けるのは「ラブグラフ」(東京)。撮影時間は1~2時間程度。料金は平日9800円(税別)、休日1万4800円。恋人同士のサプライズプレゼントとしての使いみちも。

 カメラマンと助産師がペアを組み、生後三週間以内の新生児を自宅へ訪問して撮影するという、業界初のサービスを2015年に立ち上げたのは「BABYBOOTH」(兵庫)。助産師がそばに付くことで、より安心して赤ちゃんの撮影ができると、ママの間で好評です。撮影は1~1時間半で約30カット。母子手帳セットや発育チェック・育児相談など諸々含んで6万5000円(税別)。

 利用者からは、“これまでのスマホスナップとは全くレベルの違う仕上がり”“雑誌に載っているような自然でオシャレな写真”と、自分たちでは撮ることのできないクオリティーの高さに驚きの声が寄せられています。惜しむらくは、確かなニーズがあるにもかかわらず、「出張撮影サービス」の存在がまだ知られていないこと。今後の市場拡大のためにも、認知度のアップが急務と思われます。