働くママを“食”からサポート。すくすく伸びる「ベビーフード」市場。

 「ベビーフード」とは、離乳をサポートする目的で市販されている加工食品のことで、栄養補給とともに、噛む力や飲む力を身につけさせたり、“味”や“舌ざわり”などの感覚を覚えさせるといった、赤ちゃんの機能発達をサポートする役割も担っています。安全性はもちろんのこと、きめ細やかな機能性への配慮が求められるため、「日本ベビーフード協議会」では、製品規格や品質基準、表示方法などに関する厳しい安全規定を設けています。

 かつては、手作りの離乳食こそが我が子への最大の愛情表現であるという価値観が代々受け継がれていました。しかし、女性の社会進出、核家族化、情報化社会の浸透等を背景に母親の価値観に変化が表れます。毎食、手作りすることがベストだろうか、その時間を子供と触れ合うなど母親と子供の間には他にも大切なことがあるはず、と考える女性が増えてきたのです。たしかに離乳食作りは手間と時間がかかる上に、栄養摂取量の計算も難しい…その点「ベビーフード」なら、メーカー直属の栄養士の指示のもと、足りない栄養を補って栄養バランスも偏らない。おまけに、衛生的かつ手軽で使い勝手がいいと、今や、これまで「ベビーフード」を利用することに消極的だ
った母親たちからも、高評価を得るようになりました。

 「ベビーフード」は大きく、水や湯を加える“ドライタイプ”(粉末/フリーズドライ)と、そのまま与えられる“ウェットタイプ”(レトルトパウチ/瓶詰め)に分けられます。メーカー各社は、今年3月、「ベビーフード」から撤退を表明した[明治]のシェアを奪おうと、新製品の投入やラインアップの拡充を図っています。
各社の代表商品としては——

 [森永乳業]は、1品で1食分として利用できる120g(通常は80g)の大容量ベビーフード「大満足ごはん」シリーズ(レトルトパウチ/全24品)を発売。

 [キューピー]の「スマイルカップ」シリーズ(全22品)は、そのままレンジで加熱可能。レバーやひじきなど、家庭で調理しづらい素材を使ったメニューも。

 [和光堂]は、お湯で溶くだけで簡単に作れる粉末タイプの「手作り応援」シリーズ(全28品)で働くママを応援。

 昨今の少子化にもかかわらず、「ベビーフード」の消費量は増加傾向にあり、市場は成長を続けています。育児と仕事の両立、母親の負担増といったハードな現実を前にして、安全安心、簡便性といった武器で働く女性の支持を獲得した「ベビーフード」。上手に活用するママたちが増えることが、この市場の活性化のカギとなりそうです。

※参考:
日本ベビーフード協議会
http://www.baby-food.jp/
森永乳業
https://www.morinagamilk.co.jp/
キューピー
http://www.kewpie.co.jp/
和光堂
http://www.wakodo.co.jp/
日経MJ(2016年3月11日付)