将棋」が若返ると、消費も跳ね上がります

2016年、14歳と2カ月でプロ棋士となって62年ぶりに最年少記録を更新するや、今年にはデビュー以来の連勝記録を“29”に伸ばし、公式戦連勝記録も30年ぶりに塗り替えてしまった藤井聡太四段。本人の意図とは別に、“藤井フィーバー”は空前の将棋ブームを巻き起こし、様々な分野で経済効果を生んでいます。

「扇子」や「クリアファイル」、「単行本」といった直接的な“藤井グッズ”はもとより、対局中に食べたとされる「不二家LOOK」チョコレートが話題になったり、彼の愛読書でもある将棋専門誌『将棋世界』が注目されたり、藤井四段が子どもの頃に遊んだといわれる知育玩具「キュボロ」や子ども時代に彼が将棋のルールをおぼえたとされる「スタディ将棋」(くもん出版)などは品切れ状態に。
[ヨドバシカメラ]の各店舗では、将棋関連商品の取り扱いを3倍に増やし、専用コーナーを設けて対応。
また、全国各地の将棋教室(サロン、塾、道場)では、突如出現した、ちょっと年上のヒーロー棋士を目指して少年少女たちが押し寄せ、満員御礼状態に。入会希望者が2~3割増え、受け皿や指導者が足りなくなるといった事態も。
一方で、対局中の食事が“藤井メシ”として話題になり、出前を注文する東京・千駄ヶ谷の将棋会館近くの蕎麦屋には、聖地巡礼のファンやメディアが殺到。思わぬところにも波及しているようです。

将棋の町、山形県天童市では、「ふるさと納税」の返礼品として将棋セットを用意したところ大人気となり、例年と比べて3倍近い申し込みがあったとか。
さらに、29歳で早世した村山九段の生涯を描いた映画「聖の青春」(2016年公開)や、15歳で将棋のプロとなった少年の成長と葛藤を描いた人気漫画「3月のライオン」が今年、実写映画化。これらの作品に、藤井四段の活躍が重なって少年少女の将棋熱に火をつけたともみられています。

今回のブームの特徴は、将棋のルールを知らなくても、対局姿や食事のメニューなど、棋士の一挙一動を楽しむといった“指さずに観る=観る将”と呼ばれるファンが多い点です。CS放送の「囲碁・将棋チャンネル」には、生で対局中継が観られると、入会申し込みが5倍にもなり、関係者を驚かせています。

※参考:

公益社団法人 日本将棋連盟     https://www.shogi.or.jp/
ヨドバシカメラ           http://www.yodobashi.co.jp/
朝日新聞(2017年6月9日付)
日経MJ(2017年6月21日付)
日経産業新聞(2017年7月3日付)