職場で堂々とスヤスヤ。能率向上に「昼寝」のススメ。

 2013年に発表された「全米睡眠財団」の『国際睡眠調査』によると、日本人の平均睡眠時間は平日6時間22分と、アメリカ、カナダ、メキシコ、イギリス、ドイツの6ヵ国中、最短だということが分かりました。これを受けてか、厚生労働省が『健康づくりのための睡眠指針2014』を発表。その中に、“午後の早い時間帯に30分以内の短い昼寝をすることが作業能率の改善に効果的”と明記されました。

 “眠気”には一定のリズムがあります。最も強い眠気は一日2回、午前2時頃と午後2時頃に現われます。昼食をとると、血液が胃に集中するため脳への血流が少なくなるからとか、消化されて血糖値が上がると睡眠を促す物質が働き始めるからなどといわれますが、そもそも何もしなくても私たちのカラダは、昼過ぎになると眠気を催すようにできているのです。

 せっかくの「昼寝」も、正しく行わないと効果が発揮されません。大切なのは、浅い眠りにとどめるということです。時間にして20分程度が理想的(お年寄りは30~60分)。それ以上になると深い眠り(レム睡眠)の領域に入ってしまい、逆に疲れを感じ、眠気を引きずったまま午後を過ごすことになりかねません。特別に仮眠室などが設けられていない場合は、自分の仕事机にうつ伏せの姿勢で大丈夫です。また、カフェインの入った飲み物を昼寝の前に飲むとスッキリ目覚めることができます。カフェインの覚醒作用が現れて脳に届くのに30分程度かかるため、目覚める頃にちょうどカフェインが効き出すというわけです。

 リフレッシュ効果があり、疲労の回復、作業効率や生産性の向上といった効用が見直されてきた「昼寝=短時間仮眠(nap)」。最近では、積極的に「昼寝」を取り入れる企業が増えてきました。

 埼玉県にあるリフォーム会社[OKUTA(オクタ)]では、2012年から仕事中の昼寝を認める「パワー・ナップ制度」を導入しています。従業員(約300人)は一日1回、15~20分間、眠くなったらいつでも眠ってOK。昼寝中は電話を回さないなどの配慮も。

 久留米市のある高校では、全国初の試みとして2004年から「昼寝」を実施(自主参加)。昼休みの後半15分間を「午睡タイム」として、教室を暗くしたり、クラシック音楽を流したりと、眠るための環境も整えています。

 IT企業の[GMOインターネット](東京)では、従業員約3,000人のために、会議室に昼寝用のソファ30台を置き「おひるねスペースGMO Siesta」として開放しています(12時半~13時半)。

 欧米では、[グーグル][ナイキ][ブリティッシュ・エアウェイズ]などの企業が「昼寝」制度を導入しているといいます。

※参考:
厚生労働省           http://www.mhlw.go.jp/
OKUTA              http://www.okuta.com/
GMOインターネット       https://www.gmo.jp/
朝日新聞(2014年4月27日付)
日経産業新聞(2014年6月6日付)