どんどん下がる子供の視力。保護者の関心高まる、「視力低下予防」

文科省による最新の『学校保健統計調査』(2016年度版)によると、裸眼視力が1.0未満の小学生の割合が31.5%と過去最高となり、0.3未満は8.6%という結果に。数字だけ見るとさほど多いとは思われないかもしれませんが、1979年度の同調査では、1.0未満が17.9%、0.3未満は2.6%だったことを考えると、この30数年で子供の視力低下がどんどん進み、近視が深刻な問題となっていることがわかります。

近視の発症・進行の原因には、“遺伝説”と“環境説”があるといわれていますが、いまだに“これが正解”と医学的に解明されてはいません。しかし、近年の視力低下の子供の急増からも、環境説が有力になりつつあります。
教育現場での電子教材の普及、家庭でもパソコンやタブレットをはじめ、スマホにゲーム機……たしかに、まだ視力が成長しきれていない子供の目には大きな負担がかかっています。しかし、それら以外にも、睡眠時間や就寝時刻の変化、食生活の変化、学習スタイルの変化、友人とのつき合い方の変化、屋内で過ごす時間の増加など、視力低下につながると思われる、本人の様々な生活習慣が考慮されなければなりません。

2016年に、慶応大医学部が、太陽光に含まれる“バイオレットライト”という光が近視の進行を抑える可能性があることを世界で初めて発表。屋外での活動時間が1時間未満の子供は近視になりやすく、2時間以上の子供の近視発症率はぐっと下がるという研究報告がありました。
眼鏡専門店[JINS]は昨年、このバイオレットライトを透過する子供用レンズ「バイオレット+」を発売。一般的なレンズのバイオレットライト透過率が4%のところ、このレンズは65%にまで高めています。価格は、通常レンズの2倍以上。

幼いうちの視力低下は、本人が自覚しにくい分、周りの保護者が注意深く見守り、ケアしてあげる必要があります。例えば、子供の近視進行抑制を目指したサプリ「クリアビジョン ジュニア」(ロート製薬)の摂取や、昔ながらの矯正法を行う[東京視力回復センター](渋谷)の利用など。

すでに世界人口の3分の1近くが近視と報告され、2050年には、世界の約半数が近視になるという予測があります。目に悪いならスマホもゲーム機も持たなければいい、というわけにはいかないのが現実。残念ながら、子供の“減る虫歯、増える近視”という昨今の保健状況は、今後も続きそうです。

※参考:

文部科学省         http://www.mext.go.jp/
JINS          https://www.jins.com/
ロート製薬         http://www.rohto.co.jp/
東京視力回復センター    http://www.tokyo-shiryoku.co.jp/
日経MJ(2017年11月12日付)