“クールビズ”の次はこれ! 定着するか、「スニーカー通勤」

昨年10月、スポーツ庁は、働く世代を中心に、楽しく歩くことを通じて健康増進を図ろうと、官民連携のプロジェクト「FUN+WALK PROJECT」を打ち出しました。その第1弾として今年3月、「スニーカー通勤」など歩きやすい服装を推奨するキャンペーンが行われました。

“スーツに革靴”から“スーツにスニーカー”へ。このトレンドは、「ビジネスカジュアル」、通称「ビジカジ」と呼ばれ、働きやすさの向上を目指す企業が始めた新しい取り組みでもあります。
ビジカジ”導入でスニーカー通勤をいち早く実践したのが、「新車市場(いちば)」などを運営する[カーベル]。社員のスニーカー購入をサポートする“スニーカー手当”があるほどです。[伊藤忠商事]では昨年から、毎週金曜日の脱スーツ・デーに加え、よりカジュアル化を進めようと“スニーカー・デー”を設けています。
そんな潮流の中、シューズ業界はもとより、スポーツ、アパレルと、ビジカジ市場の裾野が急拡大。かつて、総務省が音頭を取って夏季のノーネクタイが定着した“クールビズ”ブームの再来を期待し、小売業界は反応素早く走り出しています。

[三陽商会]は、外観は革靴とほとんど変わらない「ドレススニーカー」を発売。[青山商事]は、ブリジストンとのコラボで、タイヤの技術を応用した滑りにくい靴底の「走れる革靴」を商品化。[AOKI]は、片足約250gと軽くて柔らかい履き心地の「超軽量・クッションシューズ」を2015年から発売。

スニーカー通勤を狙ったスーツの販売現場でも盛り上がりを見せています。[青山商事]が今春売り出した「エアテックスーツ」は、動きやすさ(ストレッチ性)に、速乾・透湿・吸汗など10種の機能を備え、店頭ではスニーカーを合わせたマネキンでアピール。[はるやま商事]も今年、スニーカー通勤向けでスポーティーな着こなしもできる「アクティブスーツ」と、タックインでもアウトでも着られる「ドレスポシャツ」を同時に発売しました。

今回のスポーツ庁の提唱に対しては、“楽チンでいいし、災害時にも動きやすそう”という声がある一方で、“スーツにスニーカーなんてダサイ”といった“反論”があるのも事実。スーツ×スニーカー×バックパックで自転車通勤といった光景が日常的なニューヨークなどとは違い、日本の企業体質の中では“ビジカジ”の浸透に時間がかかりそうですが、それに反して関連マーケットの動きはスピーディーで活発。
そういえば、かの“クールビズ”だって、当初は異論噴出、前途多難の出足だったような……。

※参考:

スポーツ庁          http://www.mext.go.jp/
カーベル           http://www.carbell.jp/
伊藤忠商事          https://www.itochu.co.jp/
三陽商会           http://www.sanyo-shokai.co.jp/
青山商事           http://www.aoyama-syouji.co.jp/
AOKI           https://www.aoki-style.com/
はるやま商事         http://www.haruyama.co.jp/
日経産業新聞(2018年1月4日付)
日経MJ(2018年2月28日付)