オシャレなカフェ? いえ、今どきの「カーディーラー」です。

 近ごろ、自動車のディーラーで“クルマ離れ”が進んでいるようです。このトレンドは、主に輸入車を取り扱う販売店に多く見られ、クルマとは関係なく、今や人気スポットにさえなりつつあります。

 今年2月、東京・神宮前の「アウディフォーラム東京」の2Fにオープンしたのは、「アウディ・カフェ・CITABRIA(サイタブリア)」。“緑の中でのドライブシーン”をコンセプトに、広々とした空間、高い天井、大きな採光窓、中央に植栽が配された大型の木製長テーブル…ミシュラン星付きのレストランやバーなどを手掛ける「CITABRIA」プロデュースの大人のカフェは、コンサートや写真展などのイベントスペースとしても利用されています。

 ショールームの機能を備え、試乗のサービスもありますが、奥にさりげなく置かれているクルマはあくまでもサブ的。中心は、1Fのカフェとグッズコーナー。そして2Fのフレンチレストランとバースペース。そんなカーディーラーが、東京・六本木の「メルセデス・ベンツ コネクション」、通称「メルコネ」です。店内にはクルマの価格やスペックなどの、お決まりのボード類がなく、その代わりに「ベンツ」のエンブレムをかたどった照明やウーピーパイなどがさりげなくブランドをアピール。昨年4月には大阪にも同タイプのショールームをオープン。さらに、今年3月に和歌山のイオンモールに出店。続いて5月には六本木・東京ミッドタウン内に「メルセデス・ミー」をオープンしました(2014年12月までの予定)。

 「フィアットカフェ」(東京・青山)は、クルマのショールームにカフェを併設した最初のディーラーです。1Fにはフィアット・ミュージアム、バル、グッズ、そして展示車。2Fは、カフェ&レストランスペース。B1がアート、ミュージック、パフォーマンスなどのイベントスペースで構成。昨年、販売台数が過去最高を記録、女性ユーザーのめざましい“伸び”にも貢献しています。

 実は、これほど本格的なカフェやレストランを備え、商品(クルマ)をスミに追いやる展開は、日本国内だけの企画。本国を含め、他国では行われていないジャパンオリジナルです。しかし、世界に先駆けた発想と成果に、本国でも大きな関心を寄せています。例えば「フィアット」では、この日本スタイルをミラノ、スペイン、香港などへ導入することを決定。また、「メルセデス」の本社でも、こういった日本での取り組みに大変高い評価を与えているということです。

【参考】
アウディフォーラム東京 http://www.audi.co.jp/
メルセデス・ベンツ コネクション http://www.mercedes-benz-connection.com/
フィアットカフェ http://fiatcaffe.jp/
日経МJ(2014年4月16日付/同5月2日付)