スポーツと日常生活の融合「アスレジャー」には、ビジネスチャンスがいっぱい!

普段の生活にスポーツが溶け込んだ、「アスレジャー」と呼ばれる新たなライフスタイルの輪が広がっています。「アスレチック=運動」と「レジャー=余暇」を組み合わせた造語で、まずはスポーツウエアやトレーニングウエアを普段着として街なかや職場でも着る、女性のファッショントレンドとして浸透しました。発端は、米国のヨガブランドが2000年初めに発表したトレーニングウエアで、それが徐々に健康や運動に関心の高い女性の間で評判となり、さらに有名歌手や女優といったセレブがオシャレ着として取り入れたことがSNSで拡散するや、ファッション感度の高い人々からも注目され、昨年、一気に火が付きました。

ヨガパンツ、レギンス、タンクトップ、パーカー、ジョガーパンツなどが主なアイテムで、一番の魅力は、動きやすさと身体を締めつけない楽チンな着心地。
ブランドとしては、メジャーなスポーツメーカーをはじめ、一般のアパレルメーカーや下着メーカーまでも参戦。日本でも、[JUN]が[ナイキ]と組んでアスレジャー専門店「ナージー」を、昨年、渋谷に出店。

[ユニクロ]は今年から、レギンスやヨガパンツなどのアスレジャー関連商品を「ユニクロスポーツ」として展開。[しまむら]は、アスレジャーのPB「クロッシースポーツ」を今年から本格展開しています。

実際にスポーツをしたり観戦したりする人はもちろん、スポーツをやらない“ファッション・アスリート”の人たちまで巻き込んで、“衣・食・住・美”のあらゆる生活シーンで需要を刺激するのがアスレジャーの特徴です。そこには、新たなビジネスチャンスが埋まっています。

例えば、高たんぱく低脂質のランチメニューを提供するパワーカフェ。自宅の和室をリフォームしてトレーニングルームに、というオーダーに応える中古住宅メーカー。ランニングイベントの女性参加者へ向け、汗をかいても崩れにくいメーク講座を協賛する大手化粧品メーカー。ここ5年間で1.7倍に伸びたプロテイン飲料市場、等々。

米国では、かつてのカジュアルウエアの王様、ジーンズの落ち込みが激しく、“レギンスは新たなデニムだ”との声が聞かれるほど。2020年には、米国のアスレジャー市場が1,000億ドル(10兆円)に膨らむと予測されています。日本でも、東京五輪へ向けたスポーツ熱の高まりを背景に、“ファッション・アスリート”たちを主役とした消費の裾野はまだまだ広がりそうです。

参考:
JUN                  http://www.jun.co.jp/
ユニクロ                http://www.uniqlo.com/
しまむら                http://www.shimamura.gr.jp/
日本生産性本部『レジャー白書2016』   http://www.jpc-net.jp/

日経МJ(2016年8月17日付/同8月19日付/同9月16日付)