スマホの次はこれ! 音声操作家電の本命、「AIスピーカー」

1リットルの牛乳パックほどの大きさで、形は円筒形。それに話しかけるだけで、内蔵されている人工知能(AI)がその内容を認識して、会話したり、音楽を聴かせてくれたり、家電の操作や天気・ニュースなどの生活情報を伝えてくれるIT端末が、いま話題の「AIスピーカー」(「スマートスピーカー」とも呼ばれる)です。市場的には、スマホの次の大型商品と見られ、世界規模で注目度が高まっている大成長株です。

この市場は、2014年に、世界初のAIスピーカー「Echo(エコー)」を発売した[アマゾン]が切り開きました。そのヒットぶりを見たITの巨人たちは、次々とAIスピーカーに参入。2年後の2016年に[グーグル]が「Google Home(グーグルホーム)」を、翌17年に[マイクロソフト]が「Invoke(インボーク)」を開発・発売しました([アップル]の「HomePod(ホームポッド)」は2018年発売予定)。

米国より3年は遅れをとっているといわれる日本市場に昨秋、本国の2強が満を持して上陸を果たしました。
最初にやって来たのは、「Google Home」でした。高度な音声認識能力と本業でもある優れた検索能力が売り(1万5120円/税込)。

次いで、本命と目される「Echo」が上陸。スマホのアプリに匹敵する“スキル”の数が圧倒的に多く、本家のネット通販とのスムーズな連動が強みです(1万1980円/税込)。

迎え撃つ国産勢は、2017年秋に、通信アプリ大手の[LINE]が手掛ける「Clova WAVE(クローバウェーブ)」を発売(1万4000円/税込)。最大の武器は、国内で約7000万人の利用者を抱える対話アプリ「LINE」との連動です。

AIスピーカーには、それぞれの製品ごとに“AIアシスタント”と呼ばれるAIの“頭脳”が搭載されています。例えば「Echo」なら、アシスタント名が「アレクサ」なので、「アレクサ! ○○を注文して」という具合いに話しかけます。AIスピーカーの肝(きも)となる部分であり、それが製品の個性=セールスポイントとなります。現在、AIスピーカーに参入している[パナソニック][ソニー][東芝][オンキョー]といった日本の家電メーカー製の場合、出足が遅れたうえに、アシスタントにはグーグルやアマゾン製のものを採用。各社とも、スピーカーとしてのハイクオリティーを売りとしていますが、これは、核となるAIアシスタントが自前でないための苦肉の策ともとれます。

家電がIoT対応しているという前提条件となるものの、近い将来、AIスピーカーが家全体のリモコンのような存在になると思われます。市場的には、米国のみならず、すでに中国や韓国勢も攻勢をかけてきており、世界を舞台にした戦国時代の様相に。そんな中、国産勢はどれだけ太刀打ちできるか、期待を込めつつ、今後の動向に注目です。

※参考:

アマゾン           https://www.amazon.co.jp/
グーグル           https://www.google.co.jp/
日本マイクロソフト      https://www.microsoft.com/
アップル           https://www.apple.com/
LINE            https://clova.line.me/
日経産業新聞(2017年9月14日付/同10月6日付)
日経MJ(2017年9月15日付/同10月4日付/10月6日付/同10月30日付)