「古紙」が高騰の一途。こんなところにも、中国の“爆買い”の余波が。

古新聞・古雑誌や使用済み段ボールを回収し、再び段ボールやトイレットペーパーなどに再生するのが、古紙リサイクルです。日本は、古紙回収率(81.3%)も利用率(64.2%)も世界トップ水準で“リサイクル優等生”です(「古紙再生促進センター」)。特に、段ボールにするための原紙の9割超には、使用済み段ボールを回収した古紙が使われます。2017年度の国内生産量が2年連続で過去最高を更新する勢い(「全国段ボール工業組合連合会」)の段ボール業界にとって、古紙価格が大きく影響を及ぼすことは言うまでもありません。

ところがいま、古紙価格が“歴史的な”高騰に見舞われているのです。昨年後半から急上昇し、今年6月時点の段ボール用古紙価格は1年前の1.6倍ほどに跳ね上がりました。“古紙バブル”の震源地は、世界最大の段ボール消費国である中国。ネット通販の拡大でもたらされた段ボール箱需要急増による中国の“爆買い”です。

中国の古紙回収率は、やっと40%強。とても生産増には追い付かず、結果、日本からの輸入に頼らざるを得ないというのが実状です。さらに、これまで最大の中国への古紙輸出国だった米国が、自国での消費が増えたこともあって輸出力が鈍り、日本の古紙への引き合いが強まったことも古紙価格上昇に拍車をかける結果に。これに伴い、中国への段ボール原紙の輸出が加速し、1~6月の中国への輸出量は約4万トンに達しました(前年同期が約4000トン)。

それにつれて輸出価格が、月1トン当たり25ドルも上昇しましたが、手放しで歓迎するわけにはいきません。輸出価格の高騰は、国内の古紙価格にも波及。当然、原紙メーカーにとって、古紙の値上がりは収益の圧迫要因となって生産コストを押し上げ、大手各社は軒並み原紙や製品(段ボール)の値上げに踏み切らざるを得ない状況に。

国内の古紙回収量は、2007年をピークに3年連続で減少しています。また、古紙の輸出価格が高騰する一方、全体で見ると輸出量自体は4年連続で減り続けています(経産省)。かつて、リーマンショック後にも、わずか1年足らずで蘇ったといわれる古紙市場。需要増の環境下とはいえ、このところの古紙の高値基調の下、国内市場と輸出のバランスをとりながらの収益確保の道は険しく、原紙メーカーの模索は続きそうです。

※参考:

公益財団法人 古紙再生促進センター      http://www.prpc.or.jp/
全国段ボール工業組合連合会          http://zendanren.or.jp/
経済産業省                  http://www.meti.go.jp/
関東製紙原料直納商工組合           http://www.kantoushoso.com/
日経産業新聞(2017年6月28日付/同7月25日付)