現代の“赤い糸”? アプリが結ぶ「ネット婚活」、急拡大。

結婚しない男女の数が、年々増え続けています(総務省)。その多くを占めるのが、結婚したいのに出会いがなくてできないという切実な理由。そんな、“したくてもできない”男女の助け舟としてここ数年、需要が急増しているのが“婚活サービスビジネス”です。中でも、スマホの普及を追い風に、インターネット上の婚活サイトや婚活アプリ(マッチングアプリ)を使って結婚相手を見つける「ネット婚活」が急拡大。結婚相談所などのリアルな出会いを仲介する市場に急迫するほどの勢いです。
仕組みは、アプリによって多少の違いはありますが、まず登録して自己プロフィー
ル(年齢・職業・年収・趣味など)を入力後、検索して気になる相手を見つけたら「いいね!」を送信。相手からも「いいね!」の返信があるとマッチング成立。メッセージのやりとりを数回繰り返した後、実際に会うか否かを決めるというもの。利用料金は、男性のみ課金のケースが多く、3000~4000円。

現在、婚活アプリ市場は、最大手の[Pairs(ペアーズ)](運営/エウレカ)が会員数800万人とダントツ。趣味や好きなものをアピールするコミュニティー機能(約10万種類)が充実しているのが特徴。
2012年開設の元祖婚活アプリが、[Omiai(オミアイ)](運営/ネットマーケティング)。会員数は351万人。20~30代で8割以上を占めており、まさに結婚適齢期のアラサー世代向きのアプリといえます。
ほかにも、“恋活”から始められる[タップル誕生]、30~40代の利用者が多い[youbride(ユーブライド)]、リクルート発刊の雑誌『ゼクシィ』の調査に基づいて相性のいい相手を探す[ゼクシィ縁結び]、グルメ情報誌『東京カレンダー』が運営する高収入の男性会員の多い[東カレデート]等々、多くの有名企業が婚活アプリに参入しています。

急拡大の裏で運営会社を悩ませているのが、援助交際など、“出会い系”まがいへの対策です。そこで、[結婚・婚活応援プロジェクト](2015年設立)は昨年、ネット婚活サービスを提供する大手7社による自主規制ルール“7つの約束”を策定。18歳以上の年齢確認をはじめ、身分証明書による本人確認、顔写真提出の義務化、独身であることの確認の徹底など。さらに、悪質な利用者のブラックリスト化と強制的退会ルールの運用などを申し合わせました。

ひと昔前なら“ネットで結婚相手なんて……”と一抹の不安があったマッチングアプリも、いまや出会いの一つの手段として市民権を獲得。
働く女性が増えたことに伴う晩婚化と晩産化。減少傾向に歯止めがかからない低い出生率など。大げさではなく、これらの課題の有効な解決策の一つとして注目されるオンライン婚活サービスの果たす社会的役割は、今後ますます高まることが予想されます。

※参考:

総務省                   http://www.soumu.go.jp/
Pairs                   https://www.pairs.lv/
Omiai                    https://fb.omiai-jp.com/
タップル誕生                https://tapple.me/
Youbride                 https://youbride.jp/
ゼクシィ縁結び               https://zexy-enmusubi.net/
東カレデート                https://tokyo-calendar-date.jp/
一般社団法人 結婚・婚活応援プロジェクト  https://kekkon-konkatsu.jp/
朝日新聞(2018年8月30日付)