大人も飲み始めた「粉ミルク」。健康寿命の栄養補給にと、人気上昇中。

言うまでもなく、「粉ミルク」は乳幼児のための育児用食品です。が、最近、シニアの間で、“総合的に栄養がとれて体に良さそう”という理由で、自分用に愛用する人が増えているといいます。
しかし、新生児のための粉ミルクは、母乳同様、それだけで成長に必要な栄養のすべてを摂取できるように成分配合されているため、脂質が多くカロリーも高め。成人の大人にとって最適とはいえず、取り過ぎると栄養過多になり、体重や体脂肪が増えてしまう恐れがあります。
そんな実態を背景に、乳業・食品メーカー各社は、中高年が手軽に栄養補給できる大人用粉ミルクのニーズがあると確信。栄養素を成人向けに調整した「大人向け粉ミルク」が相次いで開発、商品化されることになりました。

先駆けとなったのは、[救心製薬]から2014年に発売された「大人の粉ミルク」(7袋入/税別1600円)。ヨーグルト味で、牛乳の約2倍のたんぱく質やカルシウムなどに加え、骨粗しょう症予防になる“プロテタイト”を配合。昨年度は発売当初の4倍近くの出荷数で、製造が追いつかないほどの売れ行きを見せました。
続いて2016年には、[森永乳業]から「ミルク生活」(1缶300g/税別1950円)が発売されました。感染症を防ぐ“ラクトフェリン”、免疫力を高める森永オリジナルの“シールド乳酸菌”、老化の進行を抑制する“中鎖脂肪酸”などをバランスよく配合。通販限定商品としてスタートしましたが、昨年4月から販路を拡大。ドラッグストアなどでの店頭販売に踏み切り、売り上げは発売当初の5倍以上と好調に推移しています。

[雪印ビーンスターク]も2017年、「プラチナミルク」シリーズを発売(各税別2400円)。“大人のための美味しい粉ミルク型サプリメント”というコンセプトで、「forバランス」「forパワー」「forビューティ」の3アイテムを販売しています。
このほか、健康食品販売[ユニマットリケン]から「大人の賢い粉ミルク」、[伊藤忠食品]から「おとなのミルク習慣プレミアム」、化粧品・健康関連商品を手掛ける[エルベ・プランズ]から「まいにち粉ミルク」が発売されるなど、昨年は大人向け粉ミルク市場の参入ラッシュとなりました。

“粉ミルク”と、名前こそ同じですが、乳児用のものとは、成分も効果も、そして使用目的もまったくといっていいほど違うのが「大人向け粉ミルク」です。
主な購入者の8割は50~70代の女性たち。かつて、自分の子どもに飲ませていた世代が、今度は自身の健康寿命のために飲んでいる、ということになります。

※参考:

救心製薬           http://www.kyushin.co.jp/
森永乳業           http://www.morinagamilk.co.jp/
雪印ビーンスターク      https://www.beanstalksnow.co.jp/
ユニマットリケン       http://www.riken-health.co.jp/
伊藤忠食品          https://www.itochu-shokuhin.com/
エルベ・プランズ       http://www.elveplans.jp/
厚生労働省          http://www.mhlw.go.jp/
日経МJ(2018年2月2日付/同11月7日付)