学習塾を脅かす存在に。いまどきの“ヤル気”を育てる「オンライン学習」

文科省が2020年までに生徒一人に一台の端末(タブレット)を配布することを目標決定したこともあって、近年、インターネットを使ったオンライン学習「eラーニング」の市場が一段と盛況です。

学習サービスの方法は、専用タブレットを無償で配布する形態と、利用者の所有する端末に専用アプリをインストールして利用する形態があります。

小学生~高校生を対象とした[リクルート]の「スタディサプリ」が会員数を伸ばし続けています(25万人/2016年)。人気カリスマ講師の講義動画やテキストが配信され、月額980円(税別)。

大学受験生の二人に一人が利用しているといわれる、人気“オンライン塾”です。生徒各人の学習データをAIで分析し、苦手分野を見つけ出して最適な指導で克服。同時に「スタディサプリfor TEACHERS」という教師向け管理システムも用意。データをもとに、電子カルテのように生徒の学習指導と進路指導を一体としたサービスも行っています。

[学研]の「学研ゼミ」は、幼児から中学生までを対象に、1コンテンツ月額500円(税別)。クラスごとの勉強ドリルのほか、新聞、百科事典、電子書籍が定額読み放題の図書ライブラリーなど、幅広いラインアップが特徴。

ほかにも、[Z会]が運営する「iPadスタイル」(高校生対象)。全国の公立小学校の約8割に導入されているという[ジャストシステム]の「スマイルゼミ」(小・中学生対象)。[ベネッセコーポレーション/進研ゼミ]の「チャレンジタッチ」(小1~5対象)。

関西の受験塾の名門「浜学園」による講義映像を提供している[小学館グループ]の「テレビドラゼミ」(小学生対象)。ソーシャルゲームで培った技術力やノウハウを最大限に活かした専用アプリをインストールして利用する[DeNA]の「アプリゼミ」(小1対象)等々、ネット上のeラーニングの数は枚挙にいとまがありません。

一方で、これまで教育産業をリードしてきた学習塾・予備校市場は、加速する少子化、浪人生の減少、個別指導形態による人件費の高騰などによって運営コストは年々増加。そこに襲ってきたeラーニングの台頭で、少しずつパイが奪われ、さらに経営がひっ迫。しかし、この流れの中で、興味深い現象が起こっています。

それは、塾や予備校が“映像授業”というオンライン学習のコンテンツを積極的に導入・活用し始めたことです。互いが敵対して闘うのではなく、共闘する。いわば、オンラインとオフラインのコラボです。コンテンツの差別化や収益性などを含め、eラーニングの形態は、まだまだ進化を遂げそうです。

参考:

文部科学省               http://www.mext.go.jp/
リクルートマーケティングパートナーズ  http://www.recruit-mp.co.jp/
学研教育アイ・シー・ティー       http://gakken-ict.co.jp/
Z会                   http://www.zkai.co.jp/
ジャストシステム            http://www.justsystems.com/jp/
ベネッセコーポレーション        http://sho.benesse.co.jp/
小学館グループ             http://www.shopro.co.jp/
DeNA                  https://www.applizemi.com/

日経産業新聞(2016年10月13日付)