知らぬ間にお世話になってます。急速かつ広範囲に浸透中の「人工知能」。

 「人工知能=AI(Artificial Intelligence)」とは、学習・認識・推論・判断などの人間の知能を持たせたコンピューターシステムのことです。

 初めてこの言葉が登場した1956~60年代が“第一次AIブーム”。次いで、80年代に第二次のブームを経て、現在は“第三次AIブーム”期といわれています。その特徴は、AI自らが学習能力を深めていく“深層学習”(ディープラーニング)と呼ばれる新技術を身に付けたことです。

 AIを使った商品やサービスは、様々なカタチとなって私たちの日常生活に溶け込んできており、その浸透範囲と速度は年々増しています。

 最も身近な例としては、人間と対話できるヒト型ロボット。ソフトバンクの「ペッパー」、ソニーの「AIBO」、ホンダの「アシモ」などが有名で、すでに銀行や家電量販店、駅、スーパーなどで“接客スタッフ”として実社会にデビューしています。

 将来的にAI活用の最大市場といわれているのは運輸関連。メインの“自動運転技術”は物流の効率化はもとより、タクシー、バスといった公共交通機関への普及が見込まれています。

 金融関連では、過去の株価動向データの分析から値動きを予測し、瞬時に売買のタイミングを判断するというサービスなど。
 医療関連では、レントゲンや内視鏡画像で病変を的確に見つけ、治療法を助言するといった診断補助に。

 クリエーティブの分野にもAIの台頭が始まっています。歌詞を入力し、曲のイメージやリズムを選ぶだけで自動的にAIが作曲。また、30万点のイラストを学習したAIが、お望みのイラストを約1秒で描き上げます。当然、小説の世界にも“AI作家”が登場。1000点以上の作品を解析して小説の自動生成を目指し、ショートショートの新人賞に作品を応募。一次審査は通ったものの受賞には至りませんでした。

 2015年に約3兆7000億円だった国内のAI市場は、2020年には約23兆円に、30年には約87兆円へと急速に拡大が予想されています。一方、今年の「世界経済フォーラム」(ダボス会議)では、AIの台頭で主要15カ国の失業者数が今後5年間で510万人増えると予測。また別のデータでは、10~20年後には日本国内労働人口の約50%がAIに代替されるとの推計もあります。つまり約半数の働き手の仕事がAIに奪われてしまうということです。これまで、人間は人間と争ってきましたが、これからはAIが競争相手ということになるのでしょうか。

参考:
毎日新聞(2016年1月21日付//同4月6日付/同4月22日付/同4月28日付)
日経МJ(2016年2月19日付/同4月29日付)
日経産業新聞(2015年12月17日付/2016年1月28日付/同6月7日付)