ネットの力で仲をとりもつ、「マッチングビジネス」。

 いま、さまざまな分野で注目されているのが、「マッチングビジネス」。需要と供給をつなげて仲介料を報酬として受け取るビジネスのことです。以前から、転職やお見合いパーティーといった「マッチングビジネス」は盛んに行われてきましたが、昨今の“紹介業”の大きな特徴は、インターネットを活用している点にあります。

 印刷通販を手掛ける[ラクスル](東京)は、全国1,700の印刷会社を会員としてネットワーキング。季節によって需要の波があり、印刷設備の稼働率が4割ほどしかないという現状を背景に、印刷会社の非稼働時間、つまり機械と人員の空き時間を利用することで、短時間に、かつ大手印刷会社の10分の1程度の低価格で発注から納品までを実現しています。

 “いますぐ食べたい人”と“最寄りの飲食店”をマッチングするのが、日本最大級の宅配ポータルサイト「出前館」。全国1万1,000店を超える加盟店の出前が注文できます。運営するのは、大阪の[夢の街創造委員会]。飲食店の出前のピークを除いた
アイドルタイムを有効活用。大手チェーン店から近所の蕎麦屋まで、パソコン、携帯、スマホから注文でき、年間約776万件の利用があるとのこと。

 “遊休駐車場”に着目したのが[アイ・エム・ジェイ](東京)。カーナビ向け駐車場情報配信の国内最大手である同社が、全国5万4,000ヵ所の駐車場空き情報と割引クーポンを配信するスマホアプリ「CouPark(クーパーク)」の提供を、今年2月に開始。利用者は、最寄りの駐車場の詳細情報が閲覧でき、クーポンで最大半額の割引を受けられるというメリットが。また駐車場側には、空いている時間帯の利用が促進でき稼働率を高めるという相互メリットがあります。

 宿泊先を探す旅行者(ゲスト)と自宅の空き部屋を短期間貸したい人(ホスト)をとりもつのが、米国生まれの[Airbnb(エアビーアンドビー)]です。世界192カ国、3万5,000都市にあるホスト登録物件に毎晩50万人ものゲストが利用しているという、人気のウェブサービスです。料金は一般的なホテルよりもぐんと格安。[Airbnb]は、予約が成立した時点でホストから宿泊料金の3%を、ゲストから6~12%の手数料を徴収するシステム。日本での展開も加速しており、現在、東京、京都などのホスト数が1,000軒を超えています。

 すくい切れていない利用者の需要と遊休状態の設備・人員・空間などを、ネットの力で仲介してあげることで、ビジネスチャンスはまだまだ掘り起こせそうです。

【参考】
ラクスル http://raksul.com/
夢の街創造委員会 http://www.yumenomachi.co.jp/
アイ・エム・ジェイ http://www.imjp.co.jp/
Airbnb https://www.airbnb.jp/
日経産業新聞(2014年4月18日付/同4月22日付)