あの関西人も食べだした! なぜ、いま、「納豆」人気?

納豆の売れ行きが絶好調です。これまで、2004年をピークに減り続け、11年の東日本大震災時に市場が急激に落ち込んだものの、12年以降、内食回帰や腸活・菌活ブームなどの追い風もあって需要が回復。消費量は右肩上がりで伸長し、16年の市場規模は前年比16%増(2140億円)と過去最高を更新しました(全国納豆協同組合連合会)。

たしかに納豆が、栄養価の高い発酵食品であることは広く知られています。さらに、安価で価格が安定していることも、節約志向や高齢者の単身世帯に歓迎される食品であることの大きな要因といえます。

しかし、納豆消費拡大の理由はそれだけではなさそうです。
食の安心・安全を求める消費者に響いたのが、“国産大豆使用”という国産志向へのアピールでした。2015年頃からメーカー各社は、国産大豆を謳った新商品を相次いで投入。店頭では大豆の産地や品種銘柄をパッケージで強調するのがトレンドとなり、この高価格帯商品の販売増が、今日の成長の一因ともいえます。

もう一つの市場拡大要因は、“納豆不毛の地”といわれていた関西、特に大阪での消費の伸びが著しいという点です。2016年、大阪在住の人が納豆に使った金額は12年比で5割近くも増え、その伸び率は東京や名古屋を上回っています(総務省)。背景としては、昔からの苦手要因であるニオイを抑えた商品開発とタレを関西風のダシに替えるといった地道な努力・戦略が実を結んだことが挙げられます。

[ミツカン]は、ニオイ控えめの「なっとういち」や「金のつぶ におわなっとう」。さらに、「金のつぶ 関西だし仕上げ」などを関西での人気商品に育てました。
「おかめ納豆」の[タカノフーズ]からは、カツオなどをベースにした“ご当地仕様”のタレ付きで西日本限定商品を展開。
2016年には、大阪に「納豆BAR小金庵」という納豆専門店がオープン。ちょっと贅沢な高級納豆をはじめ、“納豆バター”や“納豆ドレッシング”などの変わり種商品を揃えて話題となっています。

2016年に1世帯当たりの年間納豆消費額が最も高かったのは、水戸市で5563円、次いで盛岡市、福島市、前橋市、青森市と続きます。西日本で最も高いのは熊本市(4306円)で15位、最下位は和歌山市の1766円でした(総務省)。納豆の需要が、いかに東高西低の傾向が強いかがわかります。
米国の健康専門誌『ヘルス』が発表した世界の5大健康食品の中には、韓国のキムチ、インドのレンズ豆、ギリシャのヨーグルト、スペインのオリーブ油と並んで、堂々、日本の納豆が選ばれています。

※参考:

総務省             http://www.soumu.go.jp/
全国納豆協同組合連合会     http://www.natto.or.jp/
ミツカン            http://www.mizkan.co.jp/
タカノフーズ          http://www.takanofoods.co.jp/
納豆BAR小金庵         http://710-bar.co.jp/
日経МJ(2017年12月18日付)