海外で「日本茶」ブーム。逆輸入されて気付かされる、その魅力

近ごろ、若者を中心に“急須離れ”が進んでいます。ペットボトルや紙パック入りの緑茶飲料の消費量は増加しているものの、緑茶の国内消費量はこの10年で2割も減少しています(日本茶業中央会)。
その一方、米国を中心とした海外では、“お茶”が熱く盛り上がっています。背景には、“緑茶=ヘルシー”というスーパーフード的イメージが、世界的な健康志向の流れに乗って浸透したこと。加えて、和食がユネスコの無形文化遺産に登録され(2013年)、日本食ブームが沸き起こったことなどが緑茶の需要を押し上げました。
2016年の緑茶輸出量はこの10年で2.6倍に増加し、輸出額も過去最高を更新(財務省)。輸出の4割近くを占めてトップは、日本食レストランの多い米国。以下、ドイツ、シンガポール、台湾と続きます。

米国西海岸のシリコンバレーやロスのIT企業を中心に、ペットボトル緑茶の売り上げが好調です。この緑茶人気に目をつけた[米スターバックス]は、2012年に茶専門店「Teavana(ティーバナ)」を買収して全米で展開。さらに2014年、セレブも利用するというニューヨークの抹茶専門店「Matcha Bar」が引き金となり、“健康や美容にいい抹茶”のイメージの拡散に拍車をかけました。
アジアでも緑茶人気が広がっています。[アサヒ飲料]はインドネシアで、甘みを加えたペットボトル茶で攻勢をかけます。タイでは、飲むだけではなく、カレーやパスタなど、料理にも広く使用されています。

国内では、先細り感の否めない緑茶市場ながら、そのぶん、新しい息吹が吹き込まれて“深化”しているようです。
2017年にオープンした「東京茶寮(さりょう)」は、日本茶バリスタが目の前で専用のドリッパーを使って淹れるスタイルの日本茶専門店です。メニューは「2種類の煎茶飲み比べ+お茶菓子」のセット(1300円)のみ。
[紀伊國屋書店]は、東京・大手町に、“ブック&ジャパニーズカフェ”をコンセプトとした日本茶カフェ「紀伊茶屋(きのちゃや)」の2号店をオープンしました。

世界一の茶の産地は中国で、緑茶のシェアも世界一です。残念ながら、安価な中国製緑茶が世界では圧倒的に幅を利かせているというのが現状。日本産は、わずかひとケタ台のシェアに甘んじています。しかし最近では、中国での生産コスト上昇により、中国産との価格差が縮小。それにつれ、“価格は高いが品質も高い”日本茶の評価が改めて世界に認められ、年々需要が高まっています。
それにしても、海外での緑茶人気が、巡り巡って私たち日本人に日本茶の魅力を気付かせてくれるとは——。

※参考:

公益社団法人 日本茶業中央会      http://www.nihon-cha.or.jp/
農林水産省               http://www.maff.go.jp/
財務省                 http://www.mof.go.jp/
日本貿易振興機構(JETRO)       https://www.jetro.go.jp/
アサヒ飲料               http://www.asahiinryo.co.jp/
東京茶寮                http://www.tokyosaryo.jp/
紀伊茶屋                http://kinochaya.com/
日経MJ(2017年8月7日付)