清涼飲料市場、期待の新顔。見た目を裏切る「透明飲料」、続々。

近ごろ、急激に増えてきた無色透明の清涼飲料水。見た目とのギャップによる小さなサプライズが話題となり注目度は増すばかり。飲料メーカーは、こぞって無色透明な商品を開発・発売。ブームといわれるほどに市場は活況を呈しています。

今年5月、[アサヒ飲料]から発売されたのは、「アサヒ クリアラテfromおいしい水」(PET600ml/税別124円)。水のようにごくごく飲める、透明なカフェラテです。
6月には、“ついに誕生!”と話題を集めた、透明なコーラ「コカ・コーラ クリア(PET500ml/税別140円)が発売されました。コカ・コーラブランドとして初の透明飲料で、あの独特の液色の素となるカラメルを使用せずに、コーラの風味を実現。開発は米国本社、販売は日本だけの限定商品となります。
飲料透明化の波は、酒類にも広がっています。
6月、[サントリー]から、透明なノンアルコールビール「オールフリー オールタイム」(PET380ml/想定価格150円前後)が登場。“透明”な上に“ペットボトル入り”と、2つのビールの常識を覆した画期的商品です。
一方、発泡酒の透明版として6月からテスト販売されたのは、[アサヒビール]の「クリアクラフト」(税込500円)。開発に8年を費やし、黄金色につながる麦芽の比率を25%以下に抑えて透明化を実現。東京と大阪の直営4店でのテストマーケティングを経て、今後の本格販売を検討するとのこと。

それにしても、なぜ、わざわざ色の付いているものを無色透明にする必要があるのでしょう。そこには、日本社会独特(?)の“他人の眼=視線”の存在があるようです。
ジュースなどの色付き飲料には、どうしても“おやつ”という感覚がまだ根強く、ジュースを飲みながら仕事をするのは、ポテトチップスをつまみながら接客することと同じとみられるようです。実際、ある公共機関に苦情が寄せられたといいます。民間のオフィスでも、ジュース系を飲んでいると同僚の眼が気になると敬遠する人も少なくないようです。そこで、視線を気にすることなく、いつでもどこでも抵抗感なく飲める透明飲料の出番です。こうした“社会的背景”が商品本来の開発意図に合致しているか否かは別にして、仕事の場でメリットであることは間違いありません。なにしろ、水を飲んでいるようにしか見えないのですから。

店頭で、手にとってもらいやすいところが、透明飲料という新ジャンルの強み。そのうち、“透明青汁”とか“透明緑茶”などが出現するかも……。

※参考:

アサヒ飲料                 https://www.asahiinryo.co.jp/
日本コカ・コーラ(コカ・コーラシステム)   https://www.cocacola.co.jp/
サントリービール              https://www.suntory.co.jp/
アサヒビール                https://www.asahibeer.co.jp/
朝日新聞(2018年6月12日付)
日経МJ(2018年6月15日付)