異業種の農業参入。企業に根付くか、「機能性野菜」栽培。

 本来は全く含まれていない栄養成分を新たに加えたり、もともとごく僅かしか含まない栄養成分の含有量を高めたりした野菜が、“天然のサプリメント”と言われ、いま話題の「機能性野菜」です。リーフレタスやホウレンソウ、ハーブ類などの葉菜類やトマト、パプリカ、イチゴといった果菜類などが中心で、それらは「植物工場」と呼ばれる専用の屋内施設で栽培されます。最近は、光(照明)、水分、温度、湿度、CO2濃度、養分などを人工的に制御し、太陽光を一切用いずに蛍光灯やLEDで栽培する“完全人工光型”が主流です。

 「機能性野菜」は特に外食産業には大歓迎。色や重量、形にバラつきが少なく、農薬を使わないため洗浄不要でコスト削減。店舗近くの工場で生産できれば輸送コストも大幅に圧縮できます。

 この魅力に、農業とは無縁の異業種企業が触手をのばし始め、遊休地や設備を活用した植物工場ビジネスへの参入が加速しています。

 [富士通(会津富士加工)]は、半導体工場内の空いていたクリーンルームをレタス工場に生まれ変わらせ、腎臓を患う方でも生で食べられる“低カリウムレタス”(通常の約80%低下)を昨年5月から生産・出荷しています。

 [東芝]は昨年、横須賀の元フロッピーディスク工場を植物工場に改装。[シャープ]は2013年、UAEのドバイに植物工場をつくり、イチゴの栽培に着手。[JR東日本]は昨年、「JRとまとランドいわきファーム」を設立して植物工場ビジネスに参入。居酒屋チェーンを展開する[コロワイド]は、3年前から植物工場を稼働しています。

 また、直接の工場運営という形以外に、植物工場ユニットを販売している[大和ハウス工業]や、[日立]の“植物工場生産支援クラウドサービス”の提供といったIT技術面での参画も見られます。

 国内の植物工場の数は、2014年3月時点で383カ所。10年後には、すべての植物工場合わせて1,500億円市場に成長すると予測されています。一方で、生産可能な品種も今のところ限られており、さらに生産コストは露地物より割高で、自ずと小売単価も高くなる(約3倍)という現状にも直面。光熱費と人件費の負担増も今後の課題の一つです。どうやら、植物工場には、一次産業(農業)としてのノウハウより、二次産業(製造業)としての手腕が求められるようです。

※参考:
富士通      http://www.fujitsu.com/jp/
東芝        http://www.toshiba.co.jp/
シャープ      http://www.sharp.co.jp/
JR東日本     http://www.jreast.co.jp/
コロワイド     http://www.colowide.co.jp/
大和ハウス工業 http://www.daiwahouse.co.jp/
日立製作所    http://www.hitachi.co.jp/
農林水産省    http://www.maff.go.jp/
経済産業省    http://www.meti.go.jp/
日経産業新聞(2014年12月4日付)