「高級カプセルホテル」—-世界に誇るジャパンオリジナルです。

 “どうせ寝るだけだから”“安いから”と、どちらかといえば消極的な利用動機が主だった「カプセルホテル」ですが、最近では、狭苦しい・薄暗い・チープといったカプセルホテルのネガティブイメージを微塵も感じさせない、デザイナーズマンションならぬ、“デザイナーズカプセルホテル”と呼ばれる「高級カプセルホテル」が続々と誕生。シンプルで機能的で清潔、安全。必要なものが快適に揃う高いコンパクト性で、新しい宿泊スタイルを提案しています。

 2014年7月、成田空港内では初となる空港直結のホテルが誕生しました。「9h(ナインアワーズ)成田空港」という名の高級カプセルホテルです。汗を洗い流すのに1時間+眠るのに7時間+身支度に1時間、計9時間の機能だけに絞り込んだ先鋭的ホテル。“スリーピングポッド”というオリジナルのカプセルユニットは、光で入眠して目覚める“寝室環境システム”を採用して良質の眠りを提供しています。黒を基調とした室内デザインは、グッドデザイン賞の金賞に輝いたほどのスタイリッシュさ。全129室(男性71、女性58)。宿泊料金3,900円。12時からのチェックイン、翌午前10時チェックアウト。デイユースは1,500円から。同ホテルは他に「9h京都」を運営しています。

 秋葉原、羽田、京都烏丸、御堂筋難波、博多と、5ヵ所で展開しているのは、飛行機のファーストクラスをイメージした高級カプセルホテル「ファーストキャビン」。2012年に開業した「羽田ターミナル1」は、早期便や深夜便の利用者、欠航・遅延時などの緊急利用の他、施設従業員の利用にも対応。99%を超えるという、驚くべき稼働率で推移しています。ファーストクラス(5,900円)は120cm幅のベッドに32インチテレビ。ビジネスクラス(4,900円)は100cm幅のベッドに26インチのテレビを完備。デイユースはファーストクラス2時間2,000円から、ビジネスクラス2時間1,600円から。同社は今年から、首都圏や関西を中心に出店攻勢をかけ、2020年までには50店に拡大する計画です。

 “高級カプセルホテル”は他にも、「トラストイン博多」や都内3ヵ所(新橋、秋葉原、新宿)で展開する「豪華カプセル 安心お宿」など。

 政府は、2020年、東京五輪の年に2,000万人の外国人観光客を見込んでいます。しかしそれは同時に、都内で1万室以上の客室不足を招くとの指摘もあります。「高級カプセルホテル」は、その受け皿としての需要を視野に入れつつ、今後、外国人や女性といった新しい顧客取り込みへの期待が高まっています。

※参考:
9h                   http://ninehours.co.jp/
ファーストキャビン         http://www.first-cabin.jp/
トラストイン博多          http://www.hotel-trustinn.com/
安心お宿              http://www.anshin-oyado.jp/
日経МJ(2014年10月15日付)