若いときから口内衛生を! 攻勢をかける「洗口液」市場。

 歯周病などの歯の疾病予防や口腔内の抗菌・清潔志向の高まりにより、オーラル(口腔)ケア市場が好調に推移しています。なかでも昨今は、口のニオイに敏感な若い世代の増加といった、日本社会独特の健康清潔トレンドを背景に、「口腔洗浄液(洗口液=デジタルリンス/マウスウォッシュ)」を日常的に使用する人が増えてきました。ただ、市場的に勢いがあるとはいえ、普及率は30%前後でユーザー層は50代以上の中高年が中心と、大きな偏りが見られる点が課題といえます。

 殺菌剤などの有効成分を含んだ“医薬部外品”の「洗口液」には、「クリアクリーンデンタルリンス」(花王)、「クリニカクイックケア」(ライオン)、「薬用モンダミン歯肉炎予防」(アース製薬)、「薬用リステリン」(ジョンソン・エンド・ジョンソン=J&J)、「ガムデンタルリンス」(サンスター)など、各社、独自の成分配合による予防効果や刺激度の違いによって細かくシリーズ化されており、激戦区となっています。

 課題克服のため、各社は、40代以下の若年ユーザー層の獲得に乗り出し、多角的な販促で攻勢をかけます。

 [J&J]は、実際に使用してもらうトライアル・サンプリングを重視。オフィスやスポーツジムのトイレなどに「リステリン トータルケア ゼロ」のサンプルを置く作戦を実施。その数、約5,000カ所。また、今春行って10万人もの参加者があったという「リステリン 21日間チャレンジ」のネットキャンペーンを10月から再開。毎日ネットで達成報告をするとポイントが貯まって賞品が当たる抽選に応募できるというもので、参加者には「リステリン」を郵送し習慣化をアピールします。

 [アース製薬]からは、「モンダミン」シリーズに女性をターゲットにした「リッチアップルミント」と「ピンクシャンパーニュ」が登場。同社では「モンダミン」の需要拡大で生産が追い付かなくなり、新工場新設計画を発表しました(2016年完成予定)。

 シェアトップの[サンスター]は、今年9月、歯科医院向けの口腔ケア製品である「バトラー」シリーズから、日本初となる虫歯予防効果のあるフッ化物配合の洗口液「エフコート」を一般向けに発売。若い世代へ、手軽に虫歯予防ができることを訴求します。

 他にも、朝用・夜用と使用時間帯で分けたものや、フルーツフレーバーのもの、大容量タイプのものなど、各社、様々な工夫を凝らして「洗口液」の使用率拡大を目指します。

 余談ですが、歯が着色する二大要因は、喫煙と加齢(エナメル質の摩耗と歯石の沈着)。口臭の原因は、舌に付着した汚れによる細菌の繁殖といわれています。

※参考:
花王                 http://www.kao.com/jp/
ライオン               http://www.lion.co.jp/
アース製薬             http://www.earth-chem.co.jp/
ジョンソン・エンド・ジョンソン   https://www.jnj.co.jp/
サンスター              http://jp.sunstar.com/
日経МJ(2015年7月17日付)