あえてチャレンジ。熾烈な「カフェ戦争」に、業態越えて続々参入。

 飲食業界の中で数少ない成長市場として注目されている、カフェ業態。2年前に出現したコンビニの“レジ横コーヒー”が、2014年、前年比48%増と絶好調。さらに、再び“純喫茶”風のフルサービスの良さが見直され始めた一方で、今年2月、米国から“第三の波(サードウェーブ)”と呼ばれる新しい潮流が日本に押し寄せました。豆の産地(指定農園)や焙煎方法にひときわこだわり、1杯ごとにハンドドリップで提供するというコーヒー文化で、その代表的存在で“コーヒー界のアップル”といわれる「ブルーボトルコーヒー」の国内1号店がオープンしました。

 2013年のカフェ市場規模が前年比4%増の約1兆600億円(「日本フードサービス協会」)。また、国内でのコーヒー消費量が2014年に過去最高を記録するなど(「全日本コーヒー協会」)、カフェ市場が活況を呈しているのとは対照的に、ファミレスやファストフードなどの外食産業の市場規模は年々縮小し、不振にあえぐ冬の時代が続いています。外食大手各社はそんな窮地を脱すべく、業種の垣根を乗り越え、好調なカフェ業界への本格参入へと舵を切ります。

 ファミレスの草分け的存在の[すかいらーく]が今年3月、45年の歴史の中で初の試みで挑むカフェ業態「むさしの森珈琲」をオープンしました。ソファ席で癒しを演出した店内。ハンドドリップ提供やスイーツにも力を入れ、客単価平均1,000円と採算性も高く、新たな収益の柱に育てたい考え。

 「庄や」などの居酒屋チェーンを展開する[大庄]は、ベーカリーカフェ「ミヤビカフェ」を昨年、神戸に1号店を、今春、東京に2号店をオープンしました。通常の食パンの2倍以上の時間をかけた高級デニッシュ「ミヤビ」を中心としたメニューが売りで、15年度中に3号店を開店予定。

 [日本ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)]のカフェタイプ1号店は「フォレスタ六甲店」(神戸)。注文時に好みの豆を選び、その場で挽いて専用器具で自ら抽出するフレンチプレス式の「エイジングコーヒー」やパンケーキ、コーヒーゼリーなどスイーツ類も充実。

 讃岐うどん店「丸亀製麺」を展開する[トリドール]は、今春、郊外型のカフェ事業に本格参入を表明。現在、香川県内で実験的に運営している「クローバー珈琲焙煎所」を全国チェーンとして展開する計画です。

 収益性が低下している既存店から、新たな収益確保を狙ってカフェへと業態転換を図る外食各社。その、起死回生を目指した参戦ぶりに大きな関心が注がれています。

※参考:
日本フードサービス協会  http://www.jfnet.or.jp/
全日本コーヒー協会     http://coffee.ajca.or.jp/
すかいらーく          http://www.skylark.co.jp/
大庄               http://www.daisyo.co.jp/
日本KFCホールディングス http://japan.kfc.co.jp/
トリドール            http://www.toridoll.com/
日経МJ(2015年5月11日付)