いよいよ商戦本格化へ。「4Kテレビ」のシェア争い。

現行のフルハイビジョン規格の4倍の解像度を持つ超高精細画像が売りの「4Kテレビ」。ついに今年6月、総務省主導の「次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)」が立ち上げた「Channel 4K」で試験放送が始まりました。ただ、視聴するためには、4K対応テレビの他に、専用の受信機(チューナー)やアンテナなどが必要となり、一般家庭で楽しむにはまだハードルが高い面も。

本放送がまだ始まっていないにもかかわらず、販売現場の営業努力が奏功したのか、消費税増税後も4K対応テレビそのものの売れ行きは好調のようです。5月、液晶テレビ(50型以上)全体に占める4Kモデルの販売台数比が初めて2割を超えました。平均単価が33万円(昨春は約60万円)で、販売金額ベースでは4割に迫る勢いです。

国内のメーカー別販売台数シェアは、ソニーが約40%と抜けており、東芝、パナソニック、シャープが続きます。世界的に見ると、フルハイビジョンテレビ市場の時と同様に、韓国勢との激突が繰り広げられています。

先行し、トップを走っていたのは、“4Kテレビに勝負を賭ける”という[ソニー]でした。しかし2013年、“打倒ソニー”を掲げる[サムスン]が、安価で攻勢をかけ、欧米25ヵ国で[ソニー]を抜いてトップに立ちました。

昨シーズンまで、「4Kテレビ」の売れ筋は55型以上の大画面でしたが、今年のトレンドは“4Kの小型化”。
巻き返しを図る[ソニー]は、「ブラビア」に49型(32万円前後)~85型(200万円前後)の新モデルを8機種投入して業界最多のラインアップをさらに強化。
[パナソニック]も一気に「ビエラ」に新モデル5機種(50~65型)を投入。
[東芝]は、4Kテレビでは国内最小の40型「レグザ」を発売(23万円前後)。
[シャープ]は、4K「アクオス」シリーズ(52、60、70型)に加え、6月には日本で初めて受信・録画・再生が可能な4K対応レコーダーを発売しました(12万円前後)。

米国の調査会社の調べによると、2014年の世界の「4Kテレビ」の市場規模は、昨年比の8倍にもなると予測。

今後の世界の「4Kテレビ」市場を牽引すると思われるのが中国製「4Kテレビ」ですが、現行のハイビジョンテレビの時のように、破格値の製品が世界中に出回ると値下げの渦に巻き込まれるのは必至。大幅な値崩れを起こせば、2年後に本放送開始を目指す政府、メーカー、放送各局などに大きな誤算が生じることは避けられません。“いつか来た道”を再び辿ることのないことを祈るばかりです。

【参考】
サムスン電子 http://www.samsung.com/
LG電子 http://www.lg.com/
ソニー http://www.sony.jp/
パナソニック http://panasonic.co.jp/
東芝 http://www.toshiba.co.jp/
シャープ http://www.sharp.co.jp/
朝日新聞(2014年5月21日付)
日経МJ(2014年6月25日付)