まだまだ進化が止まりません、「機能性肌着」の新機能。

[ユニクロ]の「ヒートテック」に代表される保温・涼感をうたった機能性肌着の大ヒットから13年。その間、徐々に新鮮味も薄れ、価格以外での差別化が年々難しくなってきており、市場の一服感は否めません。そこで繊維各社は、一段上の、あるいは既存の商品にはないまったく別の角度からの“機能”を模索して、さながら開発合戦の様相を呈しています。

 今春、日本初の“着る化粧品”“化粧品ウエア”として業界の注目を集めてデビューしたのは、[帝人フロンティア]が開発した「ラフィナン」という新素材。医薬品医療機器法(旧薬事法)に基づいた、れっきとした“化粧品”の製造販売許可を取得した女性用肌着です。着るだけで肌荒れを防ぎ、皮膚に潤いを与える機能が特長で、開発には5年を費やしました。健康な肌に近い弱酸性の化粧品成分“リンゴ酸”をポリエステル繊維に浸み込ませたもので、入浴後など、肌が乾燥しやすい時に着れば保湿クリームや乳液が要らないほどの効果を発揮。今後は化粧品メーカーと組んで化粧品売り場での販売も視野に入れており、16年度に10億円、20年度には60億円の売り上げをラフィナン関連用品で見込んでいます。

 [トリンプ]から昨秋発売された新機能性肌着は、保湿性に優れた「温泉インナー」。温泉の粘土鉱物“スメクタイト”と、“美人の湯”で知られる新潟「月岡温泉」の源泉に含まれる硫黄・ミネラル成分を生地に後加工で付着させた“着る温泉”です。未加工の商品に比べて最大3度も高い発熱効果が得られます。トップ、ボトル、ネックウォーマーの3アイテムで展開中です。

 家電量販店のパソコンコーナーなどに“PCスーツ”として展示されているのが、オーストラリア生まれの着圧ウエア「スキンズ RY400」(販売・デサント)です。高密度の繊維が全身に適切な着圧をかけて姿勢の補正や血行を促進。就寝中や運動後のオフタイム、長距離移動など、身体の疲れを回復させたい時に着ると効果が期待できる“着るサプリメント”です。トップス、ロングタイツ、共に男女用がラインアップ。

 新たに美容・健康分野に活路を見い出そうとする繊維メーカー。中高年女性だけでなく、男性や訪日外国人客に広がるとの期待も高まります。
 見た目や触れただけでは良さがわからないのがこの商品の難点とはいえ、売り方次第で再びヒット商品に“大化け”しそうな魅力を秘めています。