もっと遊んで!“娯楽”が“教育”になる「エデュテインメント」広がる。

 遊びを通して知識や技術を学べる、教育ビジネスの新形態、「エデュテインメント」。“エデュケーション=教育”と“エンターテインメント=娯楽”の合成造語です。
 
 日本での先駆けは、メキシコ発の職業体験型施設[キッザニア](東京/兵庫)が知られています。“楽しみながら社会のしくみが学べる”がコンセプトで、3~15歳の子供が対象。実際の3分の2のスケールで作られた街(約60のパビリオン)のなかで、憧れの仕事にチャレンジ。実在の企業がスポンサーとなっており、体験できる職種は、開業当初70種類だったのが時代とともに新しい職業が追加され、現在は約90種類に。仕事を終えると、仮想通貨「キッゾ」のお給料がもらえ、客として他のパビリオンで支払いに使用できたり、館内の銀行に預金もできます。英語で仕事体験できるプログラムや体験時間が通常より短い「アルバイトアクティビティ」など、常に新しい企画を取り入れて高いリピート率を達成しています。

 今年3月、[よみうりランド](東京)に新設されたのが、モノづくり体感アトラクションエリア「グッジョバ!!」(Good Job Attractions)。総工費100億円、日本最大級の屋内型遊戯施設です。自動車(日産自動車)、食品(日清食品)、アパレル(ワールド)、文具(コクヨ)の4種類のファクトリーを模した建物に、製造工程を巡る15種の体験型アトラクションが用意されています。

 ショッピングセンターなどにもエデュテインメント型の体験施設を設ける動きが広がっています。
 [ららぽーと富士見](埼玉)の「チームラボアイランド—学ぶ!未来の遊園地」では、最新のデジタル技術を駆使したアトラクションが人気です。描いた絵が泳ぎだす“お絵かき水族館”や“光のボールでオーケストラ”など6種のクリエイティブなアトラクションが体験できます。

 また、親・子供・祖父母、3世代の取り込みを狙った施設も登場。“親子3世代で楽しめる仕事体験パーク”と銘打った[カンドゥー](千葉)では、入場するとすぐに、中央にあるレストラン(530席)の席へ案内され、帰るまで同じ席が確保されます。着席しながら子供や孫の楽しむ様子を眺めることができ、施設内はバリアフリーで高齢者でも移動しやすい配慮が。

 想像力や問題解決力を養うといった教育的要素を付加価値に、子供の未来への投資の場として拡大を続ける「エデュテインメント」市場。協力・提携という形で後押しする企業にとっては、社会貢献やCSR重視をアピールする絶好の機会かもしれません。

※参考:
キッザニア
http://www.kidzania.jp/
よみうりランド
http://www.yomiuriland.co.jp/
ららぽーと富士見
http://www.lalaport-fujimi.com/
カンドゥー
http://www.kandu.co.jp/
日経MJ(2016年3月21日付)