虫もいないし雨でも安心。“本格”より“気分”の、「屋内アウトドア」人気

自然は満喫したいけど、日頃の快適な生活スタイルから離れるのは嫌、というムシがいい人たちが増えているのでしょうか、“気分だけキャンプ”の「屋内アウトドア」施設が急増し、日本中に広まっています。

2年前、東京・浅草にオープンした日本初の屋内型キャンプスタイル宿泊施設「ジャポニカロッジ」。10人ほどが泊まれる小さな“キャンプ場”(室内)には、一人用テントが6張りの他、山小屋風ロフトベッドもあります。シャワー、トイレ、貴重品ロッカー、Wi-Fi完備で一泊2500円から。
屋内アウトドアのゴージャス版として、2年ほど前から専用施設が増えるなど話題となっているのが「グランピング(グラマラス×キャンピング)」。自然に囲まれたロケーションの中、リゾートホテル並みの宿泊設備で快適に過ごす贅沢なキャンプの総称で、手ぶらで参加できるのが魅力です。
そのグランピングに、“スパ”と“カフェ”を掛け合わせた複合型温浴施設も出現しました。昨年オープンした「おふろカフェ ビバーク」(埼玉県熊谷)で、館内には、大型テントやハンモックが点在し、焚火も楽しめて、さながらキャンプ場。レストラン、サウナ、1万冊のコミックや雑誌・書籍、マッサージの他、ボルダリングウォールまで備わっており、一日中飽きさせない空間となっています。館内着とタオルがついて、入館料は大人1380円(小人690円)。

屋内アウトドアをコンセプトとする流れは、業種を超え、様々にカタチを変えながら増殖しています。
東京・新宿[ルミネエスト]の屋上には、15トンもの白い砂を敷き詰めてビーチを再現した、「東京スカイリゾートワイルドビーチ新宿」が今年4月にオープン。カフェ、バーベキュー、グランピングと3つのコンテンツを提供しています。
また最近、グランピングの高級イメージを敬遠する若者たちの間では、気軽にグランピングの世界観を楽しむ「おしゃピク(おしゃれなピクニック)」やベランダでちょっとしたアウトドア気分を楽しむ「ベランピング(ベランダ×グランピング)」も人気です。

屋内アウトドアが流行する要素の一つに、“SNS映え”する点が挙げられます。手軽なリゾート体験として、ついアップしたくなる“インスタジェニック”な魅力が散りばめられているところも見逃せません。
“本格”より“気分”—–躊躇させていた本格アウトドアへの不安要素を完璧にカバーしてくれるこのブームは、まだまだ始まったばかりです。今後も、普段アウトドアに縁遠い人を、どんな仕掛けで振り向かせるか。そこには、訪日外国人を含めた大きな商機が待ちかまえていそうです。

※参考:

一般社団法人 日本ホームパーティー協会   http://hpaj.org/
ジャポニカロッジ              https://www.japonica-lodge.com/
おふろカフェ ビバーク             http://ofurocafe-bivouac.com/
東京スカイリゾートワイルドビーチ新宿    http://wildbeach.jp/shinjuku/
日経MJ(2017年5月31日付)