賢い主婦、御用達。時間と手間を洗い流して、「コインランドリー族」増殖中。

 自宅に乾燥機能付きの高性能洗濯機を備えているにもかかわらず、コインランドリーを日常的に利用する人が増えています。また、コインランドリーそのものも全国規模で増え続けています(厚労省)。最近では、スタッフを常駐させたり、女性専用店やキッズスペースを設ける店も出現。かつての、“暗い・汚い・怖い”という負の3Kイメージを払拭して、“早い・安い・きれい”という新たなイメージ付けに懸命です。

 利用者層も、かつての大半を占めていた学生や単身赴任者などから、昨今は主婦や共働き世帯、シニアの利用率が高まってきています。集合住宅での夜間の洗濯機騒音問題やタワーマンションのため洗濯物の外干し禁止、花粉・ダニ対策といった諸事情の他に、主婦層をコインランドリーへ向かわせる最大の要因となったのは、節約志向の高まりです。衣替え時期に出る家族分の大量の洗濯物をクリーニング店に出すと、かなりの金額になってしまいます。例えば、羽毛布団やダウンジャケットの場合、コインランドリーはクリーニング店のおよそ半分の料金で済みます。おまけに、クリーニング店なら1~2週間かかるのに対し、コインランドリーは洗濯から乾燥までその日のうちに仕上がります。

 近ごろは、コインランドリーもIT化。スマホや携帯で店内の空き状況が確認でき、洗濯終了をメールで知らせてくれる「ITランドリー」が増加。またプリペイドカードや、利用するたびにポイントが貯まるICカードの導入など、“コイン”ランドリーなのに、もはやコイン要らずの“カード”ランドリーになりつつあるようです。

 大量の洗い物が一度で済む、洗濯ついでにお買い物を、乾燥機を回している間に食事を—–家計の節約のみならず、時間と手間の節約にも貢献しているコインランドリーは、待ち時間の“ながら消費”を促進する企業にとって有能な“集客装置”になり得ます。その集客力に目を付け、スーパーやホームセンターをはじめ、飲食店、コンビニ、ガソリンスタンド、パチンコ店、カフェ、理髪店などと併設する店舗が急増しています。極め付きは、なんとライバルのはずだったクリーニング店とコラボしたコインランドリー店の出現。この、一見ジョークのようなハイブリッド現象も、洗濯業界の新しいムーブメントに違いありません。

※参考:
厚生労働省      http://www.mhlw.go.jp/
日経МJ(2015年11月11日付)