希少価値の味わい。日本育ちのコーヒー豆

現在、日本では、コーヒー生豆をほぼ輸入に頼っている状況ですが、国内でも“国産コーヒー”として栽培されていることはあまり知られていません。

沖縄で本格的なコーヒー栽培を始めたのは、40年ほど前。ブラジルから持ち込まれた「ムンド・ノーボ」(沖縄での名は「ニューワールド」)という品種で栽培がスタートしました。現在は、本島の国頭(くにがみ)郡エリアを中心に、いくつかの農園で商業生産が行われています。
奄美群島の徳之島(鹿児島県)では、生産を後押しする取り組みが進んでいます。昨年、[味の素AGF]や[丸紅]などが中心となって「徳之島コーヒー生産支援プロジェクト」を発足。2012年から本格的な栽培が始まった徳之島では、16年には約600本の木から70kgほどの収穫がありました。これを、20年までに、栽培本数1万本、収穫量10tに増やすことが目標です。沖縄産に比べると生産量がまだまだ少ないですが、[味の素AGF]では、20年以降、徳之島産コーヒー豆を使った「JapaNeeds Coffee®(ジャパニーズコーヒー)」を高級ギフトとして商品化する戦略を描いています。

東京でもコーヒー豆を栽培しています。と言っても、都心から南へ1000km離れた、東京都小笠原村。明治時代からコーヒーの栽培が行われ、日本のコーヒー発祥の地といわれています。父島と母島には、栽培農家が数軒。いずれも規模が小さく、年間の収穫量は200kg程度。その超レアな“東京コーヒー”を、東京・丸の内の「カフェ アパショナート」で飲むことができます。一日5杯限定で、1杯930円。酸味の少ないほのかな苦みの貴重な味わいが人気となっています。

今回、取り上げた国産コーヒーの産地には、共通する“3つの試練”が横たわります。一つは、台風。コーヒーの木はたいへん風に弱く、万全の防風対策が必須となります。二つ目が、夏の直射日光。元来、日陰を好むコーヒーの木は、強い可視光と強風による塩害で“葉焼け”を起こすことがあります。三つ目が冬の寒波。コーヒーの木の耐寒温度はだいたい10℃ですから、北風に当てないなどの防寒対策が必要となります。こういった、日本ならではの天候リスクやその対策に要する手間とコストなどが、国産コーヒーの大規模栽培を阻んでいる要因ともいえます。

世界的にみても珍しい、最北限地でのコーヒー栽培。たしかに、生産量が少ない分、高価ですが、今後は、希少な日本育ちのコーヒー豆として、一日も早いブランド化の確立が待たれます。

※参考:

一般社団法人 全日本コーヒー協会     http://coffee.ajca.or.jp/
味の素 AGF              http://www.agf.co.jp/
カフェ アパショナート          http://www.caffeappassionato.jp/
日経МJ(2018年2月12日付)