高級感も健康も。見直される「チョコレート」の魅力

国内のチョコレート市場には、いま二つの大きな潮流があります。

その一つは、“健康志向化”の波。チョコの原料であるカカオには、ミネラルやビタミン、食物繊維が豊富なうえ、動脈硬化、脳梗塞などの予防効果が期待される“カカオポリフェノール”、さらに難消化性たんぱく質の“カカオプロテイン”などが含まれています。

とはいえ、どのチョコを食べてもヘルシーというわけではありません。カカオ分が70%以上の苦みの強い“ハイカカオチョコレート”といわれる種類が対象となります。

チョコで国内シェア首位の[明治]は、ハイカカオの「チョコレート効果」をシリーズで展開。カカオ分72%、86%、95%の3種類に、昨年「72%素焼きクラッシュアーモンド」と「72%オレンジ&大豆パフ」がエントリー。2014年度に50億円だった同商品の売上高は、16年度には100億円に届こうかという勢いです。

[グリコ]は、チョコで初めて“機能性表示食品”と銘打って挑みます。昨春、難消化デキストリン(脂肪と糖の吸収を抑える食物繊維)を加えた「LIBERA(リベラ)」を発売。秋には、すでに商品化しているチョコ「GABA(ギャバ)」を、リラックス効果が期待できる機能性表示食品としてリニューアル発売しました。

[ロッテ]は2015年、乳酸菌入りのチョコ「スイーツデイズ乳酸菌ショコラ」を発売。整腸作用がある乳酸菌をチョコで包むことで腸に届きやすくなるとして話題を集め、ヒット商品となりました。

[森永]からは、「カレ・ド・ショコラ<カカオ70>」シリーズに「カカオ88」と「カカオ70×くるみ」「カカオ70×ざくろ」がラインアップ。さらに、ビフィズス菌入りの商品も加わりました。

各商品、価格は100円台~300円台(税込)前後。

もう一つのトレンドは、チョコの“高級化”です。パティシエなどがつくる高額なブランドチョコと、低価格の一般的なチョコとの中間に位置する“チョイ高チョコ”の価格ゾーン。

例えば「明治 ザ・チョコレート」シリーズ(全6種/税込240円前後)。専門店以外では初めて“Bean to Bar”という、カカオ豆の産地選びから製品に加工するまでの全工程を一貫して行うシステムを実現。世界的なコンテストで優秀賞などを受賞しました。

かつて、肥満や虫歯の元といわれて“警戒”されていたのは、今は昔。特に、好調市場をけん引する“健康志向チョコ”は、今後、単なるブームで終わることなく、一つのカテゴリーとして確立、定着していくと思われます。

参考:

明治       http://www.meiji.co.jp/
江崎グリコ    https://www.glico.com/jp/
ロッテ      http://www.lotte.co.jp/
森永製菓     http://www.morinaga.co.jp/
全日本菓子協会  http://www.eokashi.net/

朝日新聞(2016年8月20日付)
日経МJ(2016年10月7日付)