ITでぐっすり快眠。睡眠負債の返済をサポートする、「スリープテック」。

いま、ビッグデータやIoT、AIなど、IT(情報技術)を活用してその分野を劇的に革新していくような取り組みは、「〇〇テック」と呼ばれ、さまざまな分野に広がりを見せています。
その動きが“睡眠”にまで波及し、世界的規模で盛り上がっているのが「スリープテック(SleepTech)」です。昨年、ラスベガスで開催された国際家電市で初めて“スリープテックゾーン”が設けられたように、ここ数年のスリープテックの進化は目覚ましく、市場規模も兆単位で膨らみ続けると予測されています。なにしろ、ターゲットは世界中の人々、利用頻度は毎日という好条件が約束されているマーケットなのですから。

テクノロジーで睡眠の課題を解決し、睡眠の質を高めようとするスリープテックは、主にスマホを使った“アプリ系”、家電や音響機器メーカーによる“家電系”、そして異業種から参入の“その他”と、大きく3つにグルーピングされます。
[エキサイト]が、ヨガスタジオ[スタジオ・ヨギー]と共同開発したのが、スマホアプリ「寝たまんまヨガ 簡単瞑想」。あおむけになり、アプリから流れる癒しのミュージックとともにゆったりとしたナレーションのガイドで、ヨガをしたまま眠りにつけるというもの。“寝落ちアプリ”として評判になっています。
“ふとんクリーナー”でお馴染みの[レイコップ・ジャパン]から、世界初となる“ふとんコンディショナー”「レイコップ フトコン」が発売されました。人間の快眠温度とされる33℃をキープするため、足元に置いたマシンが、温度センサーの付いた専用のマットレスへ風を送り込む仕組みで、ふとんの中の温度を微妙にコントロールしてくれます。送風マシンと専用エアマットのセットで12万8000円(税別)。
“おはなし”を聞かせながら眠りにいざなうのは、睡眠サポートロボット「ネモフ」([パルスボッツ])。ふわふわしたぬいぐるみ状のロボットで、頭部を押すと反応し、16種類の“おはなし”を優しい声で読み上げてくれたり、オルゴールを奏でてくれます。価格は、1体2万9700円(税込)。
音響大手の[BOSE]からは、ビーチに打ち寄せる波の音などのヒーリングサウンドで不快なノイズをブロックしながら睡眠をサポートしてくれる「ノイズマスキング
スリープバッズ」(税込3万2400円)が発売。超小型で完全ワイヤレスのため、寝返りなど、どんなに動いても大丈夫です。

日本人の平均睡眠時間は先進国の中でも最低レベルで、男女とも40代の働き盛りの中高年が“最も寝ていない”という結果も(2017年/厚労省)。
ヒツジたちに代わって、ITが快眠をもたらしてくれる「スリープテック」という巨大市場。日本でも、ビジネスチャンスが本格的に目を覚ます時がやって来たようです。

※参考:

エキサイト         https://www.excite.co.jp/
レイコップ・ジャパン    https://www.raycop.co.jp/
パルスボッツ        https://palsbots.net/
BOSE            https://www.bose.co.jp/
厚生労働省         http://www.mhlw.go.jp/
日経МJ(2018年11月9日付/同12月7日付/同12月17日付)