ゆっくり搾って、しっかり栄養。いま、トレンドは「スロージューサー」。

ミキサーでもない、ブレンダーでもない、「スロージューサー」が最近にわかに話題となり、家庭用ジューサーの主流になろうとしています。

一般的なジューサーは、1分間に約1万~2万回という高速で刃を回転させて食材を砕いて汁を搾る“遠心分離式”の高速型。遠心分離によって繊維(搾りカス)と水分(果汁)に分けるため、回転時に発生する摩擦熱と空気混入による酸化を招いてビタミンやミネラルなどの栄養素が損失しやすいという弱点が。

これに対しスロージューサーは、1分間に数十回転という低速型の“石臼式圧縮搾り式”。石臼で押しつぶすようにじっくり搾るため、熱の発生や空気の混入も少なく、食材の栄養素が壊れにくいというメリットがあります。

火付け役は、[シャープ]でした。2012年の初代から数えて3代目、最新機器の「ヘルシオ ジュースプレッソ(EJ-GP1)」は、1分間に32回転。今まで搾りにくかった“葉もの”も、細かく刻まずに搾って純度100%の青汁が作れる改良型。

[パナソニック]も2015年、初のスロージューサー「ビタミンサーバー(MJ-L500)」で参入。毎分45回転。スクリュー底部をステンレスにして、硬い食材に対応します。

世界累計販売台数が770万台を突破した韓国のスロージューサーメーカー[ヒューロム]は、「ヒューロムスロージューサー(H-AA)」を今春、発売。ダブルスクリューの採用で、食材を両手で搾りきるような仕組みのため、搾りカスが少なく、かつ作動音が小さいのが特長。日本市場テコ入れのため、2017年に都市圏でジュースカフェを展開する計画。

スロージューサーの国内市場は、2012年の約6万5,000台から15年には20万台と、これまで主流だった“高速タイプ” を逆転、今年16年は23万台が見込まれています。ジューサー全体の市場は年々減少傾向にあるものの、平均単価(2万円~4万円前後)が高めのスロージューサーの普及によって、販売額規模では2倍以上に伸びています。ちなみに、米国、韓国、中国の各年間出荷台数は100万台というケタ違いの規模。そのスケールと比べると、国内市場はまだたっぷり伸びしろがあるといえます。なにしろ、高齢化社会に対応した商品コンセプトを持つスロージューサーには、健康志向がとりわけ強い、シニア層という巨大マーケットが待ち受けているのですから。

参考:
シャープ    http://www.sharp.co.jp/
パナソニック  http://panasonic.co.jp/
ヒューロム   http://huromjapan.com/

日本経済新聞(2016年8月27日付)
日経産業新聞(2016年8月29日付)