コンセプト勝負です。まるごと生活提案型の「ライフスタイルショップ」。

 洋服、家具、雑貨、書籍、ヘルスケア、アクセサリーなどというように、衣食住の生活全般にまつわる様々な商品を同一空間の中で展開する「ライフスタイルショップ」が注目を集め、広がりを見せています。なかにはカフェやギャラリー、エステサロンなどを併設している店舗もあり、顧客の生活スタイルをまるごとイメージできる提案色の濃いショップ形態です。

 「ライフスタイルショップ」には2つの大きな特徴があります。その1つは、全ての商品が、ジャンルによってではなく、ショップ独自の世界観やコンセプトによってセレクトされている点です。大手ファッションブランドのプロデュースから人気モデルやスタイリスト、デザイナーといった“店主”の個性とポリシーがここに遺憾なく発揮されます。オーナーの目利きとしてのセンスが求められる最重要ポイントで、単に商品を寄せ集めたような見た目だけの「ライフスタイルショップ」ではすぐにメッキが剥がれてしまいます。例えば、アメリカの中でも“住んでみたい都市”として人気の高い“ポートランド風”とか、“アメリカ西海岸”“ビーチカルチャー”“エコロジー”といった、テーマ性に貫かれたショップテイストが大切となります。

 もう1つの特徴は、店内に陳列された複合的な商品アイテムが、それぞれ主従の関係ではなく等価であるという点です。ここでは、“服”も他の生活雑貨と同等の、日常を構成するパーツという位置付けでしかありません。

 様々なアイテムを扱っているため、合わせワザ的に“ついで買い”を誘発しやすいというメリットもあります。また、商品構成の間口が広いため、“人”を選ばないのも「ライフスタイルショップ」ならでは。夫婦、カップル、友達同士、子供連れなど、幅広い客層の来店機会を促進しやすく、各人それぞれがそれなりに退屈せずに楽しめ、自ずと滞在時間も長くなります。

 この1~2年、百貨店やショッピングセンター、複合商業施設内にはライフスタイル提案型の売り場が急増。ブランドのイメージ戦略として、また上顧客の囲い込みといった点からも魅力的な「ライフスタイルショップ」の出店ラッシュは、まだまだ続きそうです。

※参考:
日経МJ(2014年12月12日付)