“生活習慣病”の要因が塩分なら、「減塩」を生活習慣にしてしまいましょう!

 日本で一番多い病気が高血圧。患者は約4,300万人、国民の3人に1人で、65歳以上では3人に2人。まぎれもない“国民病”といえます。食事、運動、喫煙といった生活習慣が深く関わっているので“生活習慣病”と呼ばれています。

 高血圧の原因は、塩分です。2015年版『日本人の食事摂取基準』(厚生労働省)によると、日本人の一日の食塩摂取量は、成人男性で9.0g未満から8.0g未満に、女性で7.5g未満から7.0g未満へと目標値が引き下げられました。ところが現実は、男性で平均11.1g、女性で9.4gと以前より減ってきてはいるものの、まだ理想値を上回っているのが現状です(厚労省)。ちなみに「日本高血圧学会」は一日6g未満を推奨しています。

 「減塩」は個人の力ではなかなか難しいため、社会で取り組もうという動きが盛んになってきています。
 呉市(広島)では、2008年から地元医師と料理人が協力して“減塩プロジェクト”を立ち上げ、レストランで減塩メニュー(一食の食塩量3g未満)の提案を行っています。
 新潟県では、「にいがた減塩ルネサンス運動」を2009年からスタート。“1g減塩チャレンジ大作戦”を県内各地域で展開しています。

 脳卒中や心臓病といった循環器病予防のための食生活改善を目的に“かるしおプロジェクト”を立ち上げ、一食当たり塩分2g未満を提唱するのは、[国立循環器病研究センター(以下、国循)](吹田市)です。美味しくないといわれる病院食を、“京料理”の考え方をベースに同院が画期的に改善。“塩分を減らしても美味しい”ではなく、“少ない塩分だからこそ美味しい”という新発想が注目され、ベストセラー『国循の美味しい! かるしおレシピ』シリーズで、病院食レシピ本の一大ブームを創り出したほど。

 その他、[ほっともっと]では、今春から約30種類の弁当を対象に平均16%の減塩を実施。
 「ほど塩レシピ」で一食当たり2.5g程度の減塩食を提唱する[ミツカン]は、日本最大の料理レシピサイト「クックパッド」と共同で減塩レシピを開発。
 [カゴメ]も、ケチャップが塩分のとても少ない調味料であることをアピール。「トマトケチャップで減塩レシピ」を提案しています。

 ハムやソーセージは塩抜きする、牛乳やヨーグルトを加える、漬け物は浅漬けか塩出ししたものに、味噌汁は具を多くし、ラーメンはスープを飲み干すのをがまんする。醤油やソースは“かける”より“つける”にする——「減塩」のポイントは、徐々に薄味に慣れて、無理せず、できるところから始めることです。

※参考:
厚生労働省             http://www.mhlw.go.jp/
日本高血圧学会          https://www.jpnsh.jp/
広島県呉市             http://www.city.kure.hiroshima.jp/
にいがた減塩ルネサンス運動  https://www.kenko-niigata.com/21/step2/gen_en/index.html
国立循環器病研究センター    http://www.ncvc.go.jp/
ほっともっと              http://www.hottomotto.com/
ミツカン                http://www.mizkan.co.jp/
カゴメ                 http://www.kagome.co.jp/
朝日新聞(2015年4月29日付)