消費者にもメーカーにも、大モテ。拡大の一途をたどる、「乳酸菌」市場。

いま、「乳酸菌」がブームです。正確には、「乳酸菌入り食品」の市場が活発化しているということで、その勢いは発酵乳関連以外の食品にも波及しています。背景としては、整腸作用や免疫力強化といった効能が消費者の健康意識の高まりと合致する一方で、食品メーカーの研究開発の成果によって、乳酸菌そのものの使い勝手が向上したしたという側面も見逃せません。

乳酸菌に関しては、乳業メーカーを中心に、各社、独自の乳酸菌株の研究が行われています。中でも、いま、多くの食品メーカーから熱視線を浴び、引っ張りだこになっている“スーパー乳酸菌”があります。それが、[森永乳業]が7年の歳月をかけて開発した「シールド乳酸菌M-1」です。特にウイルス感染に力を発揮し、“盾=シールド”のように外部からの敵を防御してくれるというところから名付けられました。この乳酸菌は、ヨーグルトなどに入る“生菌体”ではなく、加熱殺菌された菌です。乳酸菌は生きていないと意味がないと思われがちですが実態は異なり、菌の生死とは関係なく効能を発揮することが解明されています。むしろ、生きた乳酸菌が熱や水分に弱く、発酵が進むと風味が安定しづらくなるのに比べ、殺菌された菌なら、添加する食材の温度やペーハー値を気にすることなく均一の質で安定供給が可能となるからです。また、この菌の最大の利点は、少量(約100億個)でも十分に効能を満たす点。菌の含有量は多くなるほど酸っぱくなる傾向があり、少ないほうが味への影響が出づらいため加工食品へ応用しやすく、使い勝手がいいということになります。となれば、この菌の活躍の場は一気に広がります。
製造元の森永乳業は、シールド乳酸菌を他の食品メーカーに販売。これほどの逸材を他の食品メーカーが放っておくはずはなく、導入企業はすでに100社を超えるほどのモテモテぶり。
初めてこの菌を採用したのは[永谷園]の「1杯にシールド乳酸菌100億個みそ汁」でした(2016年)。続いて“たべるマスク”という強烈な謳い文句で登場したのが[森永製菓]の「シールド乳酸菌タブレット」。昨年9月の発売からたった1カ月で、半年分の売り上げ目標を達成しました。「おかめ納豆」でお馴染みの[タカノフーズ]からはタレにシールド乳酸菌を配合した「すごい納豆S-903」が発売。[吉野家]は今年1月、「とん汁」と「けんちん汁」にシールド乳酸菌を加えてリニューアル。[デニーズ]では昨秋より、シールド乳酸菌入りのドレッシングを全店に導入。惣菜の[RF1]は、ポテトサラダをシールド乳酸菌入りにリニューアル…などなど。

好調が続く「乳酸菌応用食品」市場。もはや、ヨーグルトだけで乳酸菌を語る時代は終わったといえそうです。

※参考:

森永乳業                 https://www.morinagamilk.co.jp/
永谷園                  http://www.nagatanien.co.jp/
森永製菓                 http://www.morinaga.co.jp/
タカノフーズ               http://www.takanofoods.co.jp/
吉野家(吉野家ホールディングス)      https://www.yoshinoya.com/
デニーズ(セブン&アイ・フードシステムズ) http://www.dennys.jp/
RF1(ロック・フィールド)          http://www.rf-one.com/
日経産業新聞(2017年3月6日付/同4月13日付)
日経MJ(2017年3月24日付/同3月29日付)