この4年で販売台数が11倍に! 熱を帯びる、「衣類スチーマー」市場

衣類をハンガーに掛けたままで高温の水蒸気(スチーム)がサッとシワを伸ばしてくれる手軽さがうけ、急速に市場が拡大している「衣類スチーマー」。2016年の販売台数は、12年の11倍にも跳ね上がっています。(Gfkジャパン)

アイロンとの最も大きな違いは、アイロン台が要らないという点です。いちいち出して、しまってという作業が、アイロンがけ自体を面倒にしている要因でした。
軽さも大切です。アイロンは約1kg前後が主流ですが、衣類スチーマーはだいたい700~800gと軽量。

また、アイロンではプレスしにくかった、カシミア、ウール、ファー、ニットといった痛みやすく繊細な生地やフリル、プリーツなどにも対応している点が、アイロンではなく衣類スチーマーが選ばれる要因の一つとなっています。
さらには、脱臭、除菌、花粉・ダニ対策などの効果もあり、世の中の“消臭ニーズ”も衣類スチーマーの需要を後押ししているようです。

市場的には、2013年に再参入して以来トップシェアを保っているのが、[パナソニック]。昨春発売された「NI-FS530」は、電源を入れてからスチーム噴射まで24秒と立ち上がりの早さが売り。約4分間の連続スチーム、本体700g、価格は1万円前後(税抜)。
[日立コンシューマ・マーケティング]から昨春発売の「CSI-RX1」は、本体690gと軽いのが特徴。温度は、100℃~170℃の間で3段階に調節可能。付属のブラシアタッチメントを使えば、スチームをあてながら、衣類に付いているホコリや毛クズなどを取り除きます。連続スチーム約6分、価格は1万2000円前後(税抜)。
[アイリスオーヤマ]の「KIRS-01」には、折り目を付けたい時のために、衣類を押さえながらプレスできる専用布(ぶ厚いミトン)が付いています。自分の手がアイロン台になるという、他社にはない個性。連続スチーム約5分半、本体790g、価格は9000円前後(税抜)。
[東芝]は昨秋、スチームの量を2段階に切り替え可能な「TAS-X3」を発売。連続スチーム約5分、本体690g、価格は1万円前後(税込)。

これらの機種はすべて、通常のアイロン使いもできる1台2役タイプです。

近ごろは、形態安定加工シャツの普及で、念入りなアイロンがけニーズが減少。加えて、ファストファッションの浸透で、ちょっとしたシワ伸ばしで十分と、スチーマーへの需要移行に拍車がかかっています。アイロンほどスキルを要せず、老若男女が使いやすいことから、今後ますます需要の拡大が見込まれます。

※参考:

Gfkジャパン             http://www.gfk.com/jp/
パナソニック             http://panasonic.co.jp/
日立コンシューマ・マーケティング    http://www.hitachi.co.jp/
アイリスオーヤマ           https://www.irisohyama.co.jp/
東芝                  http://www.toshiba.co.jp/
日経MJ(2017年6月14日付)
日経産業新聞(2017年8月28日付)
日刊工業新聞(2017年10月23日付)