“手が汚れるから”が、買わない理由。スマホ時代の「お菓子」が生き抜くには

今どきの若者は、ポテトチップス(ポテチ)やフライドポテトを、手ではなく箸を使って食べるのがフツーらしい、とニュースで取り上げられると、中高年世代からは“信じられない”“なんと不思議な食べ方をするものだ”との声が上がり、ネット上でもざわつきが起こりました。
お菓子をつまむときの、油分の付いたベタベタした指でスマホ画面やPCのキーボードに触れたくないから、というのが主な理由です。ゲームのコントローラ、勉強中・読書中の本などにも同様なことがいえます。
そんな風潮の波が、思わぬところにも降り掛かりました。
1967年の発売以来、半世紀以上も愛されてきた[森永製菓]の「チョコフレーク」が、今夏での生産終了を発表。健康ブームの追い風もあってチョコレートのトレンドがカカオ成分の高いリッチ志向に移り、チョコフレークの売り上げが5年前より半減。加えて、工場の閉鎖などに伴う生産拠点再編の一環として、というのが表向きの理由とされていますが、メーカー側は、チョコフレークとスマホの相性の悪さを大きな要因に挙げています。元々が、テレビやスマホなどを見ながら食べる“ながら食べ”がコンセプトの商品だっただけに、手が汚れやすいチョコフレークは、明らかに不利。“ながら食べ族”に敬遠され、売り上げ的に大きな打撃を被ることとなりました。

他のメーカーも,対応商品の開発に力を入れ始めています。
[湖池屋]は昨年、手を汚さずに食べることができるスティック状の「ワンハンドスナック」シリーズを発売。袋のOPEN部分を切り取ると“流し口”となり、つままずに袋から直接、適量を口の中に流し込める仕組みを開発しました。
[カルビー]は昨年、対象商品を2つ買った客に、オリジナル“ポテトチップストング”を無料配布するキャンペーンを[ローソン]で展開し、話題となりました。
[ケンタッキー・フライド・チキン]では昨夏、指が汚れないように工夫された3本指タイプの手袋“ゆびキレイ”を導入。希望する客へ無料で提供されました。
その一方で、「手が汚れるのは気にならない」、それどころか「指に付いたパウダーを舐めるのが好き」という“素手派”も少なくなく、メーカーも完全に“箸派”へと舵を切るのを決めかねているといったところ。

スマホという一つの道具の普及が、若者のライフスタイルを変え、新たなトレンドを生み、食の文化にも強い影響力を持ち始めたということの表れ。どんな商品も、もはや長年愛されてきたというだけでは生き残ることが許されない時代になってきたようです。私たちの至近距離にある、ごく日常的な商品が、今後、生活習慣の変化に合わせてどのように生まれ変わり進化していくのか、注目していきたいものです。

※参考:

日本チョコレート・ココア協会     http://www.chocolate-cocoa.com/
森永製菓               http://www.morinaga.co.jp/
湖池屋                http://koikeya.co.jp/
カルビー               http://www.calbee.co.jp/
日本KFCホールディングス       http://japan.kfc.co.jp/
朝日新聞(2018年10月4日付)