“本業”不調の救世主となるか? 家電量販店が手掛ける「住宅関連事業」。

 2009年から2010年にかけ、家電エコポイント制の導入や地上デジタル放送移行によるテレビ買い換え特需などで収益拡大した家電量販店も、ここ数年はその反動の波をモロに被り苦戦を強いられています。加えて、消費税増税や商品確認のために来店はするものの実際の購入はネット通販で行うという“ショールーミング”現象の増加も逆風となり、家電量販大手4社(ヤマダ電機、エディオン、ビックカメラ、ケーズHD)の業績は軒並み大幅減益。打開策として、事業の多角化に活路を求め始め、その代表的なものが、元々、家電製品と相性のいい「住宅関連事業」への参入でした。

 最大手の[ヤマダ電機]は、リフォームや注文住宅の受注時に家電製品を併せて売り込む事業に重点投資し、今後の成長の柱と位置づけています。その一環として、体験型住宅展示場を併設した店舗を、神戸垂水、埼玉春日部、秋田、金沢などに設け、順次増やしていく計画。駐車場の一角にスマートハウスを建て、家庭用蓄電システムや掃除ロボットの実演、4Kテレビの上映など、さまざまな家電製品を実際の生活空間に近い形で体験してもらおうという狙いです。

 昨年、住宅設備最大手の[LIXIL(リクシル)]と資本業務提携を結んでリフォーム事業への大幅強化を打ち出したのが[エディオン]。リフォームコーナーの導入店舗を、直営369店中、214ヵ所と、積極的に増加。また、低価格・短時間交換が売りのリフォーム商品「ぷちdeリフォ」を全店舗で展開。キッチン、バス、トイレに加え、レンジフード、洗面化粧台など“リクシル効果”も発揮されて好調に推移しています。

 [エディオン]サイドは、[リクシル]が抱える全国の施工業者ネットワークに家電製品を乗せることができる点。一方[リクシル]にとっては、[エディオン]が誇る全国400超の店舗に大型売り場を活用したリアルな提案が可能になる点。互いにwin-winの良好な関係が築かれています。

 関西の[上新電機]は、今期、全国60店舗を対象にリフォーム専用スペースを設ける改装計画を発表。「Joshinまごころリフォーム」と銘打って、システムキッチン、バス、トイレ、洗面といった水回りの住宅設備機器の交換リフォームを強化。10年間保証や24時間体制のサポートサービスも実施しています。

 家電量販各社がこぞって“第二の本業”“新しい収益の柱”として育てていこうと目論む「住宅関連事業」。大きな売り場と気軽に立ち寄れる雰囲気で、新たな集客を図ることができるか—-約7兆7,800億円(2012年度)といわれる巨大なリフォーム市場へ挑む、新参、家電量販店のお手並みに注目です。

【参考】
ヤマダ電機 http://www.yamada-denki.jp/
エディオン http:www.edion.co.jp/
上新電機 http://www.joshin.co.jp/
日経МJ(2014年5月12日付)