歓迎! 英語入試改革。“話す”“書く”に、商機あり。

昨年7月、文科省は、大学入試の「センター試験」に代わって、2020年度から「共通テスト」を導入するという改革案を発表。中でも、大きく変わるのが「英語」入試。現行は、“読む”と“聞く”の2技能ですが、改定後の共通テストには、これに“書く”と“話す”が加わり4技能での評価となります。その場合、50万人もの受験生が一斉にスピーキングの試験を受けることは不可能となるため、大学入試センターが認めた民間の検定試験(GTEC、TOEIC、TEAP、英検など)を活用することとなります。(実施内容の詳細は省略)

今回の大学入試改革を新たな商機ととらえ、にわかに活気づいたのが、英語教育関連業界。4技能習得に向け、各社、新機軸を打ち出して、学生と保護者にアピール。すでに熾烈な生徒争奪戦の火ぶたが切られています。
[駿台予備学校]では、駿台生を対象に、スマホなどで自由に繰り返し学習できる「eラーニングシステム PLATON(プラトン)」を、今春からスタート。
[ベネッセコーポレーション]の通信添削講座「進研ゼミ」は、“共通テスト一期生”となる現在の高1生を対象に、月1回15分のオンライン会話の無料サービスを導入。スマホやタブレットを使って、外国人講師とリアルタイムの個別指導が受けられます。
[東進ハイスクール]も高1生向けに「英語4技能講座」を今春、開講。AIを搭載した教材アプリ「Speaking Partner東進くん」を使って、“R”と“L”、“B”と“V”といった間違いやすい発音を自動認識してくれます。

また、英会話の授業のための十分な教材や先生を用意できない—-そんな資金力にゆとりのない中小の学習塾や学校へ、オンライン英会話システムそのものを売り込むビジネスも登場。[スタディラボ]の「OLECO(オレコ)」というサービスで、毎回、外国人講師による完全マンツーマン指導が売り。加盟料は一校25万円、利用料金は生徒一人につき月4回の授業で月額4980円を学校から徴収する仕組み。導入先は600校を超え、利用生徒の数は5500人と予想を上回る規模に拡大。特に、入試改革発表後には、新規導入の問い合わせが急増しているとのこと。

20年度からは、小学5・6年生の英語が正式教科に。中学でも英語の授業は英語で行うことが基本となります。保育所や幼稚園などでの、子供向け早期英語教育のニーズはいっそう高まり、英会話市場はさらに拡大。今回の大学入試改革の英語検定試験導入によって新たに生まれるマーケットの規模は、数百億円と予測されています。
この少子化の中、縮小一途だった教育業界の眼前に、“魅力的”な市場が待ちうけているのです。

※参考:

文部科学省         http://www.mext.go.jp/
駿台予備学校        http://www2.sundai.ac.jp/
ベネッセコーポレーション  https://kou.benesse.co.jp/
東進ハイスクール      https://www.toshin.com/
スタディラボ        https://studylab.co.jp/
朝日新聞(2018年3月20日付)
日経МJ(2018年4月4日付/同6月20日付)