社員の健康。それが、企業の“健康的経営”につながります。

 65歳未満の労働力、いわゆる生産年齢人口の減少に歯止めがかかりません。反面、定年延長などによる高齢従業員の増加に伴い、企業が負担を強いられる医療費は膨らみ続ける一方です。そんな状況のなか、多くの企業が、自らの経営課題として「健康経営」に強い関心を寄せ、積極的に導入の検討を進めています。企業がより成長するために、最も大切な資産である社員の健康管理に会社を挙げて投資していこうという考え方です。

 [花王]ではいち早く、2010年に「KAO健康2015」を策定し、2012年度から全社でウォーキングキャンペーンを実施。本社食堂では“花王健康ごはん”を提供し、その結果、社員の内蔵脂肪が平均約10%減少しました。

 [ロート製薬]は、社員が自発的に健康管理のできる人材になることが重要と考え、「セルフケアプロフェッショナル」の育成を目指します。

 [ローソン]では2012年に「健康アクションプラン」を策定。健康診断未受診者とその上司には賞与の減額を課しました。今年度からは、日々の健康管理の記録や運動、各種健康セミナーへの参加などに対し、“ごほうび”として買い物に使えるポイントを付与する「ローソンヘルスケアポイント」を導入(1ポイント=1円、年間で最大1万ポイントまで)。

 [JAL]が3年前から取り入れているのが「データヘルス計画」。社員のあらゆる健康データを集めて分析し、隠れ肥満などの生活習慣病予防にきめ細かな対策を講じています。また、各事業所にリーダーを配置して「ウエルネス活動」を展開。ウォーキングや運動会、階段のススメなどを実施。

 [リコー]では2014年から、ウエアラブル端末を利用した健康チェックを実施。毎日の健康状態のデータ(歩数や血圧など)と定期健診の結果をデータベース化して経年変化を把握しようというものです。

 [オムロン]が取り入れている端末は、自社の歩数計。社員が身に付け、3カ月間の累計歩数と消費カロリーを800以上の部署間で競い合う「オムウォーク」が毎年行われています。
 
中小企業にもこの波は広がっています。IT企業の[エクスマート]では、タバコを吸わない社員や健康に関するスクールに通うと月2,500円、最大で月5,000円の“健康手当”を支給しています。

 今年3月、経済産業省と東京証券取引所は共同で、従業員の健康管理を戦略的に取り組んでいる22社を「健康経済銘柄」に選定して後押し。加えて、経産省は2016年から、従業員の健康管理を担当する役員クラスの責任者を設置することを上場企業に奨励しています。

※参考:
経済産業省             http://www.meti.go.jp/
日本経済団体連合会       https://www.keidanren.or.jp/
花王                 http://www.kao.com/jp/
ロート製薬              http://www.rohto.co.jp/
ローソン               http://www.lawson.co.jp/
日本航空              https://www.jal.co.jp/
リコー                 http://www.ricoh.co.jp/
オムロン               http://www.omron.co.jp/
エクスマート             http://www.exmart.co.jp/
朝日新聞(2015年6月6日付)