“木”の良さもMade in JAPAN。広がる、「国産木材」の活用。

日本は、国土の3分の2近くを森が占める、世界でも有数の森林国です(林野庁)。

1960~70年代にかけて植えられた人工林(スギ、ヒノキ、カラマツなどの針葉樹)の多くが順調に生育し、近年ようやく木材として利用できる状態になりました。

にもかかわらず、林業全体の採算性悪化による資金不足、人手不足から手入れが行き届かずに放置され、荒廃する森林が多く見られるようになりました。その影響で“間伐(かんばつ)”が不十分となり、適切な伐採が行われないため樹木の質の低下を招き、加えて増加する外国産木材との価格競争もあって、ますます採算性が厳しい状況に置かれるという負のスパイラルに陥りました。

この悪循環を断ち切るために、国も国産材の需要促進へ向けて動きます。

2000年、木造耐火建築物の許可を皮切りに、2010年の「公共建築物等木材利用促進法」、さらに2014年の「建築基準法」改正による防耐火規制の緩和によって、3階建ての学校などが木造で建てやすくなるなど、木造の可能性を大幅に広げ、木材利用の流れが大きく変わりました。

近年、輸送コストの低減などで国産材が値下がり傾向を見せている一方で、外国産材は、主要産地であるマレーシアやインドネシアの違法伐採規制強化の影響で輸入量が減少、かつ値上がり傾向が続いています。

2015年の国産丸太の需要量(製材用+合板用)は、2010年比で16%増加したのに対し、輸入丸太は同28%の減少。特に、合板市場での国産材の利用は活発で、2015年の需要量は10年前の約4倍に膨らんでいます。

全国の市町村の約9割の自治体が、公共建築物に国産材を積極的に使用する方針を示しています。

また、環境意識の高い民間企業の間でも木造の機運が高まり、国産材の活用が進んでいます。

[ミニストップ]では、CSR活動の一環として「森林管理協議会(FSC)」が認定した間伐材を使った木造店舗の導入を推し進めています。

従来の鉄骨造りより、コスト、工期、人件費の面で削減でき、経営上のメリットも多大。

2015年には「ウッドデザイン賞」を受賞するなど、すでに全国で166店舗が導入され、今年度は約30店増やす計画です。

[スターバックス]も、岐阜、東京、鳥取、奈良、福岡などの一部店舗で、地元材を取り入れたユニークな木造店舗を展開しています。

2014年には、木材自給率が30%を上回りました。これは、林業界にとって26年ぶりの朗報でした。林野庁は、2025年までに50%程度まで高めたい意気込みで、さらなる国産木材の利用拡大に拍車がかかります。

※参考

林野庁             http://www.rinya.maff.go.jp/
農林水産省           http://www.maff.go.jp/
環境省             https://www.env.go.jp/
森林管理協議会         https://jp.fsc.org/
ミニストップ          http://www.ministop.co.jp/
スターバックスコーヒージャパン http://www.starbucks.co.jp/

日経産業新聞(2016年5月26日付/同8月2日付)