あんな場所で、こんなコトも! 新しい場の価値を生む「空きスペース時間貸し」。

 リーマンショック以降、海外では、自宅の空き部屋を短期間貸し借りしたい人同士をマッチングする「Airbnb」などの“シェアリングエコノミー”サービスが著しい成長を見せています。日本でも時間貸しの“シェアリングスペース”ビジネスが急成長しており、スペースの価値観を変えるといわれるほどの新しい波が起こっています。

 これまでのレンタルスペース市場というと、初めから貸すことに特化した“専用”の施設や場所に限られていました。しかし、どんな場所でも、空いている時間をシェアすると考えれば、借りられる場所は無限といっていいほど広がります。

 個人や企業が所有する遊休スペースや平常使用しているスペースの空き時間を、場所を探している個人・法人とマッチング。“こんな場所も借りられるの!?”という、スペースとコンテンツの斬新な組み合わせで注目されているのが[スペースマーケット](東京)です。新宿の「スタジオアルタ」で社員総会を(4万5,000円/時)、帆船で会社の周年記念パーティーを(15万円/時)、鎌倉の古民家で企画会議合宿を(5,000円/時)、映画館で新規事業の立ち上げイベントや結婚式2次会を(約5万円/時)、銭湯でライブを(1万円/時)、お化け屋敷で合コンを(8,000円/時)など。

 現在同社が取り扱っているスペース数は約3,000に上ります。サイト掲載は無料。レンタル料金は貸し出す側が設定し、マッチング成立時に20~35%の手数料が発生する仕組みです。

 ガレージや自宅の駐車場、ビルのデッドスペースといった小さな空きスペースを中心にマッチングサービスを行っているのが[軒先.com]。一日単位、時間帯限定でお店を開いたり、作品を展示したい人に最適です。

 閉店時間中のレストランを借りてイベントや料理教室などができる[RESTOLIB]、使用していない農地を貸し借りできる[シェア畑]など、空きスペースのマッチングサイトは多種多様。

 単に場所を仲介するだけでなく、これまでにないユニークな使い方や楽しみ方を提案することでスペースの新しい価値と新しい体験を訴求している点が、これまでのレンタルスペースサービスと違うところ。今後は、地方の公共施設や廃校、商店街、体育館、水族館、動物園、遊園地、プラネタリウム、酒蔵、離島などの遊休スペースが候補として挙がっています。“シェアリングエコノミー”という概念の浸透は、旧態然とした不動産マーケットの活性化にも一役買うことになりそうです。

※参考:
スペースマーケット https://spacemarket.com/
軒先.com       http://www.nokisaki.com/
RESTOLIB      http://www.restolib.fr/
シェア畑        http://www.sharebatake.com/
日経МJ(2015年7月6日付)
日経産業新聞(2015年8月6日・9月9日付)