働き方改革”の新しい波、「シェアオフィス」が受けとめます。

扉で区切られた専用個室スペースが「レンタルオフィス」なら、業種や企業のカベを越え、複数の利用者が同じワークスペースを共有するオープンなオフィス形態が「シェアオフィス」と呼ばれています。
最近、働く時間や場所に制約されないテレワークを導入する企業が増えたことで、一般のビジネスパースンの間にシェアオフィスの利用が拡大。例えば、シェアオフィスを拠点としているベンチャーの起業家と、テレワークで立ち寄る企業の社員との協業で事業を立ち上げる“オープンイノベーション”が活発化するなど、企業のニーズを具現化する新たなきっかけの場としても、その効用に注目が集まります。

いま、そんなシェアオフィス事業に触手をのばしているのが、主に不動産や電鉄大手。次々と新しいワーキングスペースを提供しています。
[三井不動産]は昨年、法人を対象とした大型シェアオフィス「WORKSTYLING(ワークスタイリング)」を開設。受付にはコンシェルジュが常駐し、セキュリティーも万全。テレビ会議室や一人用個室も備えています。現在、全国約20カ所で展開。
[東急不動産]の会員制シェアオフィス「ビジネスエアポート」の5号店が、昨年、六本木に開業しました。オープンなワークスペースやミーティングルームのほか、37の個室やカフェスペースも完備。
[東京建物]は昨年夏、同社初となるシェアオフィス「+OURS(プラスアワーズ)」を東京・八重洲にオープンしました。地方企業の東京出張時の拠点としての利用も想定。現在は新宿との2店舗展開。
[東急電鉄]が2016年から運営するのが、会員制シェアオフィス「New Work(ニューワーク)」。現在6カ所で展開中。いずれも駅から徒歩3分圏の好立地。カフェのような空間にフリーアドレス型の衝立付きデスク席を用意し、会議室、Wi-Fi、電話ブース、ロッカーなどを完備。入退室時に必要なライセンスカードは全国の同店で利用可。今年度中に100店舗まで拡大する計画です。

“世界一集中できる空間”を目指して、昨年12月にオープンしたのが、眼鏡チェーン[JINS(ジンズ)]が運営する会員制シェアオフィス「Think Lab(シンク・ラボ)」です。集中はストレスとリラックスの共存から成るという考えから、神社仏閣をコンセプトに空間設計。一人掛けの机で全162席。奥には12席分の個室スペースも用意されています。

業務の場を自社内に限っていたこれまでの労働環境に限界を感じている多くの企業にとって、ワークスタイル、ひいては社員のライフスタイルを変えていくことがひっ迫した課題として横たわります。大企業の社員にも多様な働き方を許容し、そして要求するいま。シェアオフィスという新しい共有オフィス環境への需要は、今後一段と高まりそうです。

※参考:

一般社団法人 日本レンタルオフィス協会   http://www.jroa.or.jp/
三井不動産                 http://www.mitsuifudosan.co.jp/
東急不動産                 http://www.tokyu-land.co.jp/
東京建物                  https://plus-ours.com/
東急電鉄                  https://www.newwork109.com/
JINS                    https://thinklab.jins.com/
日経MJ(2017年7月17日付/同8月16日付)