右肩上がりの「アルコール対策飲料」市場。激しさ増す“ウコンの戦い”。

 お酒を飲む前後に摂取すると二日酔いの軽減につながるとされる機能性飲料、いわゆる「アルコール対策飲料」市場が拡大を続けており、2013年度の市場規模は過去最高を記録しました。

 市場を牽引するのはウコン飲料。“ウコン(英名=ターメリック)”は、カレーパウダーに入っているショウガ科の植物で、カレー特有の黄色はウコンによるものです。特に秋ウコンに含まれている色素成分が、ポリフェノールの一種で肝機能を高める効果があるとされる“クルクミン”で、胆汁分泌促進作用と二日酔いの原因となるアセトアルデヒドを分解して排出してくれるため、“ウコンは二日酔いに効く”といわれているのです。

 ウコン飲料のパイオニアは、[ハウスウェルネスフーズ]の「ウコンの力」。2004年の発売以来、ウコン飲料市場で9割以上のシェアを誇り独壇場でしたが、最近は競合商品の増加で5割台までの落ち込みを見せています。巻き返しに向け、5月に新商品「ウコンの力 レバープラス」を発売。3種のウコンエキスとクルクミン40mg(他社製品は30mg)に新たに肝臓エキスを配合して、通常商品より高めの価格で勝負。

 [キリンビバレッジ]からは、2009年に登場した「発酵ウコン」の進化形、「ウコンとしじみ900個分のオルニチン」を発売。“回復系アミノ酸オルニチン”を配合して肝臓への効果を強力にアピールします。

 [サントリー食品インターナショナル]は、クルクミンを微粒子状で使用することで吸収量を3倍に高めた「超ウコン」で市場に参入。しじみに含まれる成分で、アミノ酸の一種“アラニン”がアルコールの分解を促進します。

 [日本コカ・コーラ]ならではの炭酸系ウコン飲料「リアル ウコン」も、クルクミン+アラニンの配合成分。

 シェアを着実に拡大し、「ウコンの力」を脅かすまでに急成長したのが[ゼリア新薬工業]の「ヘパリーゼW」。ウコンエキスと肝臓エキス、W(ダブル)の配合。すっきり美味しいパイン味が女性にも人気です。

 非ウコン系の別路線を行くのが、[味の素]の「ノ・ミカタ」。しじみ600個分に相当するアラニン配合で、30分程度で体内に吸収されるという即効パワーが売りです。

 意外なことに、中高年の男性よりも、20~30歳代の男女に支持されているこの市場。売り場スペースが小さくてすむ上、高単価のため、主戦場であるコンビニにとってはおいしい商品といえる一方、メーカーにとっては、自販機への販路開拓を視野に入れたボトル形状の開発や増え続けるエナジードリンクとの販売スペース争奪戦といった、新たなハードルが待ち受けています。

【参考】
ハウスウェルネスフーズ        http://www.house-wf.co.jp/
キリンビバレッジ            http://www.kirin.co.jp/
サントリー食品インターナショナル  http://www.suntory.co.jp/
日本コカ・コーラ             http://www.cocacola.co.jp/
ゼリア新薬工業             http://www.hepa.jp/
味の素                  http://www.ajinomoto.co.jp/
日経МJ(2014年6月6日付)