社食のない企業を狙え! じわじわと職場の中へ入り込む「新・ランチビジネス」。

 なかなか食事にありつけないオフィス街の“昼食難民”を救おうと、ランチビジネスはこれまで多様な変遷を続けてきましたが、最近、その主戦場は“会社の中”へと移ったようです。

 昼時になると、社内の共有スペースを即席の“社食”に変身させてしまうのは、[スターフェスティバル](東京)が手掛けるサービス、「シャショクル」。約4000種類の弁当メニューの中から契約した企業の担当者と相談の上、500~600円の価格帯で毎日10数種類を日替わりで届けます。導入費や運営費は無料。現在、主要都市中心に約200社の企業に展開中。

 もう一つの“昼食難民”救済サービスとして広がりを見せているのが、チルド(冷蔵)弁当を社内にストックして食べた分だけ料金を支払う“置き弁”サービスです。

 管理栄養士が監修し、一食500kcal以下、塩分2.0g以下に抑えたヘルシーな弁当をオフィスに提供しているのは、京都の[スマイリー]。導入費用として3万円、月額利用料は無料。専用の冷蔵庫を設置するだけで、一食650円の弁当(和・洋・中の3種類が週替わり)が毎週火曜日に15食配送されます。提供エリアは、東京、大阪、横浜。

 “置き弁”には、食品メーカーも参戦。ストック型ランチ商品を開発して“昼食難民”にアピールしているのは、[フジッコ]のチルドレンジ惣菜「ベスタデリ」シリーズ(全5種類)。グラタンやラザニア、カレーなど、400kcal以下で本格シェフの味がオフィスでいつでも食べることができます。

 既存勢力のコンビニ各社もさらなるランチ対策に乗り出しています。契約した会社内に“自販機コンビニ”を設置する[ファミリーマート]の「オフィスファミマ」もその一つ。飲料以外のコンビニ商品(50種類)がラインアップされ、おにぎりやサンドイッチは毎日入れ替えられます。現在、約1700台設置、3年後には3000台が目標。

 いずれのサービスも、予想を上回る手ごたえで、社食がある企業からも問い合わせや導入要請が少なくないといいます。このところのランチ市場の活況の背景には、限られた貴重なランチタイムを食事以外の自分の好きなことにも使いたいという、いわゆる“昼活ブーム”の広がりも見逃せません。社食の立ち上げ、運営には莫大なコストがかかるため減少傾向にある昨今、オフィスランチ市場の伸びしろはまだまだありそうです。

参考:
日本フードサービス協会  http://www.jfnet.or.jp/
スターフェスティバル   https://stafes.co.jp/
スマイリー        http://okiben.com/
フジッコ         http://www.fujicco.co.jp/
ファミリーマート     http://www.family.co.jp/
日経МJ(2016年5月11日付)